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怖い、とか。普通に思った。
友達に対して。
「………………え、と、……」
「俺は言ったし、学校じゃ散々噂も聞いてんだろ。………ってことで」
「は、え………なに」
「なにじゃねーよ。この状況でわかんないならただのバカだぜ」
うひい。うなじの匂い嗅がれる。指が手の甲をさすって、俺の手に絡まる。……………ちょちょちょ。
キモいって。
「え、や、待っておかしくね? なんでいきなりそーなんの」
逃げる。簡単には逃げらんなくて、もがいてから脱出した。ベッドから離れ、立ち上がってはふらつく。うえ。眩暈がする。
「…………いきなりじゃなくね」
いや、あんたが傷ついた顔すんなよ。
なんだこれ。なんでだ、俺。何を見落としてた。
点滅信号のあとは、赤信号だってこと。
……………………そんで向こうは青信号ってか。はは。よく出来てる。えっ、それなんの話?
はあ、とため息をついて、浅原は立ち上がった。俺は身構える。煙草煙草、とやる気無さそうに頭を掻いて、浅原は壁にかけた上着から煙草とライターを取り出す。
「………………不良め」
俺が言うなよ。
「うっせ…………あ、煙草やだ?」
「や? 特に」
つか、俺も昔は吸ってたし。
「……………あそ」
浅原は、ちらと視線をこっちに投げてから、また元の位置に戻った。なにを考えたのかはわかる。昼間見せた肩の痕。……あんなの、俺は本当にどうでもいいのに。
煙が天井へと立ち上る。映画は終わって、エンドロールが流れる。映画の二番目に好きなとこ。大量の人が関わってるのを、最後まで見届けるのは、小さな頃から好きだった。ずらりと並んだ名前。何をやってるのかもわからない職業。ときおり混ざる、面白い名前。
「………………言ってくれりゃいいのに」
「何を」
間髪入れず返されて、俺はまた言葉につまる。
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