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診察
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寝室のドアを開けると、ベッドの上に少年の姿はなかった。
どこへ行ったのかと部屋を少し見回すと、ベッドと壁の隙間からちらりと頭が見えた。
ベッドから落ちてしまったのだろうか。
「おい、大丈夫か?」
そう話しかけながら少年の顔を覗き込んだ。
「ひっ、ぁ...ごめ、なさ」
明らかに怯えていた。
「どうした?身体辛いだろう。こっちへおいで。」
屈んで、少年と同じ目線でできる限り優しく言う。
しかし、手を出した瞬間、怯えはもっと酷くなった。
「ぁ、や!んん...やぁ!」
殴られると思ったのか頭を守っていたが、頭を守る手は片手で、左手は横腹辺りを押さえていたのが気になった。
「殴らない。大丈夫だよ。」
そんなやりとりを繰り返していた頃、インターホンが鳴った。
触れない少年をひとまず置いて玄関に向かった。
「やっほー。来たよー!」
「ありがとう。入ってくれ。」
「お邪魔しまーす。診てほしいのって誰?」
「少年なんだが、酷く怯えて手が出せないんだ。」
ほら、と寝室のドアを開け少年の所まで案内すると、少年は蹲っていた。
先程までは小さく座っていたのに。
もう怖がるのも気にしていられず、少年を持ち上げてベッドへ寝かせた。
暴れるほど元気がないのか、先程のように抵抗することはなかった。
「この子傷だらけみたいだけどどうしたの?」
「分からない。さっきから横腹辺りを押さえてるんだが、切り傷が一番酷かった。そこも診てやってほしい。」
「おっけー」
「こわいねぇ。酷い事は絶対しないから、ちょっと診させてくれないかなー?」
奏斗に言われると、少年が不安げに俺を見た。
「お、手をちょっと動かしてるね。慧握ってあげれば?少しは落ち着くのかもよ?」
「あ、あぁ。」
手を握ってやると、少し表情が和らいだ気がした。
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