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シャワー
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次の日の昼、少しりつの熱が落ち着いてきていた。
りつがここに来た時には酷い熱で風呂にも入れられず、雨でびしょびしょの体を拭いたぐらいだった。
ちょっと下がってる今のうちに風呂に入れなければ。
少し慣れたようで、そっとなら体に触れても怯えることはなくなった。
りつを抱き上げて風呂場へ向かう。
片手で服を脱がせると、急に暴れだした。
「や!や!」
片手で抱いていたため、暴れられてりつが落ちてしまった。
ドンっと大きめの音がしたので、痛みで動けなくなるかと思ったが、痛そうな顔をしながらも必死に立ち上がって脱衣所を出ていく。
「りつー?」
出ていったりつを追いかけるように廊下を見ると、りつは一目散に玄関へと向かっていた。
まずい。鍵を開けられたら出ていってしまう。
りつは今、全裸だ。
出ていくにしても今はダメだ。
ちょっと焦ったが、弱っている今鍵を開けてドアを開ける力は出ないようで、ドアを両手でドンドンと弱々しく叩いて座り込んだ。
後ろから歩いて向かうと、両目を手で押さえて震えていた。
「ごめんなさい。ごめんなさい。こわい。こわいよ。」
「りつ、大丈夫、痛いことはしないよ。怒ってない。」
「やぁ...痛い...痛い...」
りつの前に屈んで両腕をさすってやんわり手を外してやる。
「りつ、神童さんだよ。怖くない。」
「しんど、さん、痛い?」
「痛くない、綺麗になるよ」
「ブクブク、いやなの...」
ブクブクってなんの事だろうかと思ったが、とりあえず痛いことや怖いことはしないと伝える
説得してもう一度抱きかかえ、風呂場へ入ると、やはり少し不安そうな顔をする
怪我もあるから、今日はシャワーだけにしてさっさとあがらせよう。
蛇口を捻ってお湯を出す
「こわい、こわい...ひっ...」
「りつ、大丈夫だ、触ってごらん、あったかいよ」
りつは、恐る恐るシャワーの湯に触れる
「ぅ...?さむくない、痛くない......」
「そうだ、シャワーも風呂も気持ちいいんだぞ」
「うん...」
洗っているとだんだんウトウトとし始め、俺の膝に座ったまま寝てしまった。
シャワーの後、ベッドに寝かせた時の顔は、とても穏やかだった。
それから数日でりつの熱は下がった。
奏斗がりつの為にと服やら絵本やらを持ってきてくれた。
りつはひらがなは読めるようで、楽しそうに何度も何度も同じ絵本を読んでいた。
さて、今まで仕事を休んでいたから、今日は仕事に行かないと。
在宅ワークに切り替えられるよう相談もする予定だ。
留守番のために、ご飯を作り置いて、レンジの使い方と、もしもの時のために電話の使い方も教えた。
「じゃあ、行ってくる。不安になったりしんどくなったりしたら俺に電話しろよ?」
「はい、行ってらっしゃい...」
寂しそうなりつを残し、俺は仕事に出かけた。
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