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過ぎた日
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「凛月くん落ち着いた?治って良かったねぇ」
「...奏斗さん、いたい、終わり?」
「うん、もう終わったよ。頑張ったね」
「せなか、押さえつけられて、あのときのおにいさんがいてこわくなって...それで...ごめんなさい...」
凛月がまた謝った。
怖いと思ってしまうのは仕方ない事なのに、凛月はすぐ自分を責めてしまう。
「そうなんだね、怖いって思うのは悪いことじゃないから謝らなくていいんだよ」
そう言いながら頭を撫でる奏斗を、凛月は不思議そうに見ていた。
「きょう...きょうは、いつ?」
「今日は6月17日だよ」
「ぁ、ぼくっ、神童さんの...」
凛月は今日が何日か聞いて泣きそうな顔になる。
「慧の誕生日のことかな?大丈夫だよ、元気になったらお祝いしようね」
「でもっ、でもっ...」
凛月の目には涙が溜まっていて、今にも零れ落ちそうだ。
「凛月、焦らなくてもいい。凛月が元気になったらいつでも祝ってくれ。今は凛月がいてくれるだけで十分幸せだ」
「おてがみ、かいたの...」
「ああ、知ってる。誕生日にちゃんと読んだぞ。頑張って書いてくれたんだよな。字も上手に書けてたぞ」
「ほんと...?」
「慧ねー、手紙読んで泣いてたんだよ〜!」
茶化すように言う奏斗の肩を軽めに叩く。
「なんで?いや、あった?」
「あーいや、凛月くんが心配すぎて泣きやすくなってたんだよ。あとは嬉しくてって感じかな?そうだよね、慧?」
あまりにも当たりすぎていて驚いた。
「あ、あぁ、めちゃくちゃ嬉しかった。けど、凛月がいなくて寂しかった」
奏斗に全部見透かされてるようで、なんかちょっと悔しいな。
「よかったの...おてがみ、よむ、してもらえて」
「手紙ありがとな。帰ってきてくれて本当にありがとう」
「みつけてくれて、ありがと、ございます」
凛月が柔らかく笑った。
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