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顔を真っ赤にして
俺の言葉を待っていた女の子は
次第に泣きそうになっていった。
どうしてそんな顔ができるのだろう。
俺はこの子とほとんど話したことがない。
なのにどうして好きだなんて言えるの?
気持ちがないのに付き合う必要はないし、
この子だって
俺が好きじゃないかもしれない可能性を
考えなかったのか?
俺は普通だ。
この子とは喋ったことがない。
あっても事務連絡ぐらい。
なのに好きってどこを見て思った?
「好き」は曖昧だ。
ここから先は好きになる、みたいな
明確な線はない。
俺にはボヤボヤした、
よく分からない物体に思える。
「どうして、ダメなの?」
どうして?
どうしてだろう。
告白される時、
毎回のように聞かれる質問。
俺はいつも答えられない。
女の子の泣きそうな顔。
そんな顔でも可愛いのだから
この子は本当に人気があると思う。
それでも、
好きにはなれないし
かわいそうだから付き合おうかなんて思えない。
好きなんて目に見えないものを
信じることはできないし、
よく知りもしない人に
一々顔の表情を変える労力が無駄に感じる。
「俺は、君のことをよく知らないし、好きでもないのに付き合うのは君に失礼だと思ったから。」
なんて思ってないけれど、
そう言えば、
大抵の女の子は諦めてくれる。
「…そっか…。時間取ってごめんね。ありがとう。」
俯いて走り去った女の子に
もったいないことをしたなとは、
微塵も思わないのだから
俺はやっぱりおかしいのかもしれない。
まだ昼食を取っていなかったことを思い出して
俺は教室に向かった。
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