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「好きです!付き合ってください!」
「無理だ。」
「ちぇー」
「飯食うぞ。」
戻ってきてすぐに告白。
今日は二回も告白された。
火早野のこれを回数に入れていいのかは
分からないが。
火早野とは毎日同じ会話をしている。
体育館の裏で告白をされ、断って、ご飯を食べる。
他愛もない話をして、
予鈴が鳴ったら移動する。
そんな感じだった。
でも、今日は少し違った。
「なぁ、告白、断ったの?」
これは先程の女の子の話をしているのか。
一応、火早野は俺が好きらしいから
心配なのかもしれない。
「断った。知らない子だったから。」
「水本は知っている子でも、断ってるだろ。」
どちらにせよ、好きだと思わないし、付き合う気もない。
「なぁ、どうして誰とも付き合わねーの?」
多分、これは純粋な疑問なんだろう。
今まで俺は断る理由を聞かれても適当に返していた。
だから誰も本当の理由なんて知らない。
俺だってよく分かっていないからな。
「……好きって、曖昧だから。」
「ん?それどういうこと?」
箸を止めて深く考え始める火早野。
説明しないと、一生考えてそうだな。
「好きって、何をもって好きなんだ?
好きになって付き合って。それはつまり、これからも一緒にいたいという事だろ?
どうしてそこまで他人を信用し、身を委ねられる?
後から捨てられる可能性は?
自身が他の人を好きになる可能性は?」
昔からそうだった。
信用できる人間など存在しない。
「好きだなんて目に見えないものにどうして期待する?
目に見えないから、どんな形で来るか分からないだろ。
好きだから殴る、好きだから傷つける、好きだから犯す。
そんな恐ろしい事も好きだからで片付けられてしまう。」
どうして俺はこんなことを火早野に話しているのだろう。
「中身なんて誰も見てない。
見てるのは外側で。
好きだと言っていた人は、時間が経てば経つほど、
相手の中身を知ってしまって、
ゆっくりと、そしてスピードをあげて、
嫌いになっていく。
好きなんてそんなもの。
最後まで一緒なんてありえない。
何かがキッカケで壊れていくんだよ。」
人間なんてそんなものだ。
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