アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
帳と絢斗
-
ギィィ
という屋上のドアの独特な音を立てて入ってきたのは、整った顔立ちで、毎日のように女子から告白され、攻略困難と有名な、瀬名 絢斗。彼は帳の保育園からの友人で、唯一の理解者。高校までずっと一緒の学校だ。
「ごめん、遅れるなとか言っといて俺が遅れた…」
「いや、いいよ。僕が相談する方だし、全然!」
少し申し訳なさそうな絢斗に、帳は自分の横に手を置き、ここに来いということを促す。
そしてなんの躊躇もなく絢斗はそこへ座るのを見ると、2人の信頼関係が長年かけて築かれたものだと分かる。
「で?何があった?」
絢斗は単刀直入にそう聞いた。
帳が朝の出来事を簡潔に説明すると、少し絢斗の表情が曇った。
そして、次に絢斗が口にする言葉を帳は信じることが出来るのか、と絢斗は考える。
「姫崎はお前のことを1年の頃から見てた」
ハッと我に返って口元を抑えたが、もう手遅れだった。言
うか言わまいか考えているうちに、無意識に開いた口は止まることを知らなかった。
その時に絢斗が見た帳の顔は、恐怖ではなく、軽蔑。そう言うのが正しかった。
「…帳…」
慌てて声を掛けるが、過去に起こってしまったことはもう取り返しがつかない。
「……俺」
一人称が変わったことで絢斗の喉がヒュッと鳴った。
「とば」
「姫崎にキスされた時、何で俺がって思った」
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
5 / 33