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「おぇっ……う………」
家に入ってからというものの、吐き気が収まらない。
吐きたいのにえずくだけで何も出てこなかった。
「秋君?!大丈夫?」
俺に気付いた伍さんが背中を擦ってくれたが、吐き気は収まらなかった。
「ひろとは何やってんの……柚希ーっ!ちょっときて!」
「……ん?え、どうしたの秋クン」
「吐きたいけど吐けないみたいで…柚希得意じゃなかったっけ」
「うん。ちょっと苦しいけど我慢して」
「…っ!?やぁッ、…っ……」
抵抗とするが、柚希さんと自分じゃ体格差がありすぎる。
顎を片手で支えると、指を喉の方まで押し込んだ。
途端に胃のものが這い上がってきて、吐くことができた。
「げほっ……おぇ……っ」
「大丈夫。全部出しきっちゃいな」
なんとか全て吐ききり、口を拭いて濯ぎに言った。
「ひろとと何かあったの?」
「……玄関前、で…女の人が待ってて……りさって呼んでて………」
「あぁ、りささんかぁ」
「「誰?」ですか?」
柚希さんと声が重なる。
「ひろとの高校くらいの時の元カノ。今さらより戻したいとか言い出したんじゃない?」
「え……」
「大丈夫だよ。ひろとは秋君の事大好きだから」
その時、玄関が開いてひろとさんが戻ってきた。
「はぁ…疲れた……」
「お疲れ様。りささんに待ち伏せされてたみたいだね」
「うん…『高校の時はまだ洋兎の魅力に気づけてなかったのかも。私たち元に戻れないかなぁ』だってさ。俺にはもう秋がいるっての」
声を真似て再現する。
俺に抱きつこうとしたが、咄嗟に柚希さんの後ろに隠れた。
「えっ」
「秋クンひろさんが浮気してたんじゃないかって思ってさっきまで吐いてた」
「ち、チクらないで……」
「吐いちゃってたの?浮気なわけないでしょ。秋だけが好きなんだから」
そうは言っても、さっきからあの甘ったるい香水の香りが微かにする。
「あーきー……ぎゅぅってさせてよー……あ、そうだ、さっきのおっきいぬいぐるみ買ってあげるから」
まだそれを引きずっていたのかと呆れた。
「……じゃあお風呂入ってきて」
「お、汚物扱い…?」
「ひろとからりささんの香水の匂いする。それが嫌なんじゃない?」
それでやっと分かったようで、顔が明るくなった。
「じゃあお風呂入ってくるね。上がったら絶対ぎゅぅってさせてよ?」
柚希さんの後ろからこくりと頷くと、満足そうにお風呂場へ向かっていった。
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