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目を開けると、既に病室のベットに横たわっていた。
「秋。体どう?まだ麻酔効いてるらしいから大丈夫みたいだけど」
「……終わった…?」
ベットの横で本を読んでいたひろとさんに問う。
「うん。勿論成功だって」
その言葉に安心しきり、ベットに体を預けた。
「よく頑張ったね」
頭を撫でられ、嬉しくてすり寄る。
「あと一時間くらい麻酔効くんだって。切れちゃったら少し痛いかも」
そのワードに少し縮み上がる。
余程不安そうな顔をしていたのか、何やらバックの中をごそごそとしだした。
「秋の好きなプリン持ってきたよ。痛くなったら紛らわすために食べようか」
あと一時間は確実にひろとさんと居られることが嬉しくて、頬が緩んだ。
一時間ほど楽しく話している内に、お腹の辺りが痛むようになってきた。
糸で縫ってあるものの、むやみに動くと大量出血の元になってしまうため安静だ。
「大丈夫?痛い?」
「痛い…けど……大丈夫……」
喋ると痛みに響く。
腹痛のような痛みではなく、当たり前だが例えるなら転んだときの膝の痛みを割り増しにした感じだ。
ひろとさんの手を握り、プリンを口に運んでもらう。
「ほんとに大丈夫っ?」
おろおろとしているが、あまり騒がれたくはない。
「だいじょうぶ…」
一つ食べ終えた時、先生が部屋に入ってきた。
「失礼するよー。さてと、麻酔切る頃ちゃう?痛い?」
その先生は手術をしてくれた先生ではなく、診察してくれた先生でもなかった。
高熱を出したときに看病してくれた伍さんの知り合いの先生だった。
「な、なんで薙沢先生……」
「あれ、説明してへんの?俺、ここのせんせなんやで。元々担当やったせんせに頼み込んで秋君の担当にしてもろたんや」
ひろとさんの方を向くと、何故か視線を逸らした。
「痛なってきたんやろ?痛み止めあげる」
そういって錠剤を手渡した。
「あと飴ちゃんもあげる。ざらめの大きい飴ちゃんやさかい、詰まらへんように気ぃ付けてや」
3つほどポケットからざらめの飴を取り出し、錠剤を置いた手に乗せた。
「ありがとうございます…」
「ほな別の診察あるさかい、もう行くなぁ。また夕飯の時間になったら来るわ」
ひらひらと手を振って病室から出ていった。
「なんで教えてくれなかったの?」
「だって……なんかあの人秋取りそうで怖いんだもん……」
子供のような理由につい笑ってしまった。
「い、いだっふふ、あははっ 」
手術した場所が痛むのに、笑いは止まらない。
「はぁ…あーお腹いたい…」
恥ずかしそうにするひろとさんに背中をさすられながら息を整える。
「そんな笑わなくても…」
「だって、俺はひろとさん以外居ないのに変な心配してるから」
錠剤を水で流し込み、もらった飴を一つ口にいれた。
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