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お腹も膨れ、眠そうにしていると誘拐犯に抱き抱えられてソファーに下ろされた。
「腕外してあげるね」
幾らか寝やすくなった環境で、布団を首までかけられて久々にぐっすりと眠ることができた。
数日後、足の拘束もはずされ、ほぼ自由になった。
「…おいで。お風呂いれてあげるから」
まだ警戒心が解けていない俺は少し逃げた。
ソファーの後ろに隠れたり、机の下に潜ったりしても酷いことをされることはなかった。
「僕は外にいるから…洗面所に服とタオル置いとくよ…?」
そういってご飯を作りにキッチンへ向かっていった。
試しに玄関の前まで行ってみるが、俺をちらっと見ただけで追いかけてくる様子はない。
ドアノブに手をかけて押したり引いたりしてみるが、びくともしなかった。
(だろうな…)
大人しくお風呂場へ向かい、洗って温かいお湯に浸かった。
じんわりと疲れきった体に染みるお湯が心地よい。
さっぱりとして上がり、服を来てリビングらしきところに戻る。
「お風呂どうだった…?」
なにも言わずコクりと頷くと、相手の顔が分かりやすく綻んだ。
「………聞いてもいい……ですか?」
今はまだ敬語を使っておいたほうがいいだろう。
相手もいつ豹変するかわからないのだ。
「やっと声が聞けた…っ!」
本当に嬉しそうに顔を輝かせた。
ココアを手渡され、飲んでみると甘くておいしかった。
「なんで…こんなことするんですか……?」
そういうと、少し下を向いた。
「ごめんね…急にこんなとこ連れてこられて怖いよね……」
ココアをちびちびと飲みながら悄気ている誘拐犯を見ていられなくて、少し距離を縮めた。
「怖い…けど、悪い人に見えないから……」
そういうと、手を頭に伸ばしてきた。
何をされるのかと目を固く瞑って少し後退るが、自分よりも大きい手がふわっと頭に乗る。
「………?」
「…っ、ご、ごめんねっ?急に気持ち悪いよね…っ…」
ここに来てから、ひろとさんに日常的にスキンシップが多かったからか、少し愛情に飢えている。
「ううん……ここきてちょっとだけ寂しかったから………うれしい…かも」
下を向いてボソボソと言うと、また頭に手が乗って優しく撫でられた。
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