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劣等種7
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レ「Ω[r]種…?まさか、希少種の」
キ「そうそう。もうちょっと大事に扱ってくれてもいい気がするんだけどな、だって世界に1万人だけだぜ?」
びっくりして固まる4人に俺は笑って答える。
もう終わりだな。
劣等種と過ごすのなんて皆嫌だろうし。
そういえばイギリスのΩ[r]種の女の子がオークションで2億で落札されてたっけ。
俺も金持ちのαに売られちゃったりすんのかな
ガ「…首の傷は、番のやつがつけたのか?」
キ「いや。Ω[r]種って一度に複数のαと番になれるんだけど。俺はあいつら3人と番なんだよ。それが嫌で焼いたりえぐったりしてたらこうなった」
レ「なぁキヨくん、1個聞きたいことあるんやけど」
キ「なに?」
レ「キヨ君は嫌やないの?」
まっすぐ俺を見つめるレトさんの目が合う。
心臓がキュッとなった。
キ「聞いてた、レトさん?俺はΩ[r]種で、劣等種で」
レ「俺はそんなことを聞いてへんよ。」
キ「じゃあなんだってんだよ?!」
目の前が怒りで真っ赤に染まる。
いきなり大声を出した俺に、レトさんはびくっとしてうっしーの服の袖を掴んだ。
牛「おい、落ち着けって」
うっしーが伸ばした手を俺ははらいのける。
キ「嫌やないの、って。嫌に決まってんだろ!誰が好きで、あんな事ーーっ!」
レ「じゃあなんでそんなに笑顔で話すん?!無理してんのバレバレやで?!」
俺はレトさんを睨みつける。
キ「あんなぁ、βにはわかんねぇかもしんねぇけど、Ωはαには逆らえねぇんだよ!」
キ「だからずっと犯され続ける…こんなん笑いでもしねぇと耐えられないんだよっ…!!」
フ「キヨ」
キ「俺は劣等種だから幸せなんて望めねぇし、望んでも来ねぇ。でもさ、お前らにはバレたくなかったんだよ。嫌だろ、こんな奴が友達なんてさ」
なのに、どうして
どうして知っちまったんだよ。
どうして、俺なんかのために辛そうな顔するんだよ…
ガ「キヨ、俺たちはお前がΩ[r]種とか関係ないって思ってるよ」
ガッチさんが俺の肩に手を置く。
ガ「だって俺、キヨ好きだし。」
牛「うっわそういうクサいセリフ真顔で言う?恥ずかし」
キ「うっしー…?」
牛「まぁそれもキヨ好きだしな」
レ「なーに照れてんのw」
牛「うっせ」
レ「キヨくんさ、俺らはなめすぎじゃない?」
うっしーに続いてレトさんも俺の手を握る。
キ「フジ…」
フジ「俺らはさ、どんなキヨでもずっと好きだから」
フジが俺を見て柔らかく微笑んだ。
「「「………恥ずかしー」」」
フ「いい雰囲気ぶち壊すのやめて!?」
どうしてこんなに優しいんだよ…
キ「ありがと、な」
みんなはそれを聞くと、安心したように笑った。
牛「さ、俺らとゲームしようぜ?」
俺はガッチさんとレトさんが差し出した手を押し返した。
キ「わりぃけどさ俺行かなきゃなんねぇから、あいつらんとこ」
レ「なんで?!」
レトさんの大きい声にみんなが振り返る。
俺は少しだけ笑って口を開いた。
キ「俺達劣等種は番のα様の体液を定期的に摂取しねぇと発情期が酷くなるんだ。」
ガ「自分を蔑むような言い方やめろ」
ガッチさんのセリフに俺は首をすくめる。
…結局のところ、俺はあの3人からは逃れられない。
フ「抑制剤ってやつで何とかなんないわけ?」
キ「簡単に言ってくれるけどなぁ、あれ高いんだぜ?それにあれは並のΩ用で、俺達には効き目は強くない。それに酷くなった発情期は、周りの人に危害が及ぶんだ。」
牛「危害ってなんだよ?」
キ「周りのαを、はたしたらβもかもな。フェロモンが惑わせて、みんな俺を襲っちまうんだよ。結婚とか番とか関係なく、な。」
キ「こんな誰と何回ヤってるかもわかんねぇ奴とヤりたくないだろ?」
ガ「キヨ」
キ「わりぃって」
でもまぁ事実だし。
牛「そんなのねぇだろ…なんでキヨが」
キ「あははうっしーありがとな。そう言って貰えるだけで十分だよ。」
うっしーやガッチさんが辛そうに下を向いた。
後ろを向いてドアから出ようとする俺をレトさんが引き止める。
キ「レトさ」
レ「番、番のα探せばええやん!!」
番…?
今まで黙って考え込んでいたフジがばっと顔を上げた。
フ「そうだよ、ちゃんキヨを大切にしてくれるα探して、番になって貰えばいいんだよ、」
キ「そんなやついるとは思えないけど。」
ガ「キヨは自分で思ってるより優しいやつだよ。お前を好きになる人はいっぱいいると思うぞ」
キ「そういう問題じゃ」
うっしーが俺と視線を合わせる。
牛「なぁキヨ」
キ「なに、うっしー。」
見ればうっしーも、ガッチさんも、レトさんもフジも。
今にも泣きそうな顔をしていた。
牛「俺らはさ、キヨに幸せになって欲しいだけなんだよ…結婚して、子供産んで。お前が諦めたらどうにもなんないだろ?今までのことは辛かったろ、でも前を向いてくれよ…」
うっしーの目から涙が落ちる。
俺の手の上に落ち、流れていくそれを俺はまじまじと見つめた。
急に視界がぼやけてきて、俺は慌ててそれを誤魔化すように上をむく。
うっしー、俺には未来なんてねぇんだよ…
キ「…優樹(ゆうき)、花音(かのん)、進(すすむ)」
牛「…え?」
キ「未来(みらい)に、響(ひびき)。俺の子供の名前なんだ。なかなかいいセンスしてんだろ?」
うっしーは噛み締めるように、子供、と呟いた。
キ「5回堕ろしたんだよ、俺。5人の命を奪ったんだ。酷い親だよな」
牛「…」
キ「もう子供を産むことは出来ないって医者に言われたんだ。俺の未来なんてとうの昔にあいつらに奪われてんだよ」
俺は無理やり笑顔をつくる。
キ「それにあの3人のとこ行かねぇと犯されてる映像晒されて、今の俺の居場所まで無くなりかねないし。…俺は行くよ。」
レ「キヨ君…っ」
ドアを開ける俺を止めようと、レトさんが俺の前に立つ。
レ「行っちゃあかんよ!!だってキヨ君、キヨ君壊れちゃうやんか…」
ぽろぽろと目から大粒の涙を流すレトさん。
…相変わらず超がつくほどのお人好しだなぁ
キ「そうかもな。壊れたら助けてくれるんだろ、頼りにしてるぜ」
レ「キヨく…」
すっとレトさんをかわして外に出る。
外は生憎の大雨だった。
牛「キヨ行くな、戻ってこい!おいフジ離せよ!」
レ「フジ君なんでなん!?キヨ君行っちゃうんやで!?いいんか!?」
フ「いいわけ、ないだろ…っ」
大声がしてぱっと後ろをむくと、俺に向かって手を伸ばしているうっしーとレトさんを抑えているフジがいた。
ガッチさんはただ悲しそうに俺を見つめている。
牛「なら離せよ!」
フ「うっしー!俺らが引き止めたところでキヨは傷つくだけなんだよ、、俺らはαじゃないから!あいつを救ってあげることは出来ない、俺たちは何も出来ないっ…」
レ「そんなん決めつけんといて!」
フ「キヨが、あっちを選んだんだよ…」
ふっ、とまた視界がぼやける。
頬が何かをつたうのを感じた。
「…あのさ」
大雨に打たれたまま俺は4人を振り返る。
これなら泣いてるのバレねぇだろ
「また一緒に実況とってくれるか?」
フジは一瞬固まって、泣きそうな笑顔を見せた。
「…もちろん」
そのままフジはドアを閉めた。
…知ってんぞ、フジ。
お前、俺の事好きだろ。
高校の時からずっと。
似てんだよな、目が。俺を見て微笑む目が。
フジのこと考える時の俺の目と、とてつもなく。
もし俺がΩ[r]種じゃなかったら。フジがαだったら、こんなことにはならなかっただろうなぁ
「はは、かっこわりー…」
あんな決めゼリフ言って出てきておいて、情けなく泣いてるとか。
「フジ俺さ。ずっと、ずっーと前から、お前のこと好きだったよ」
小さく口にした言葉は、雨音に掻き消される。
俺は頬についた雨粒を拭って、ホテルへと足を向けた。
そして俺は今日も、あいつらと身体を重ねるんだ。
end
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