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短編 (kskky,hrky,rtky)
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短編の単語考えてくださった皆様ありがとうございました!
超絶短い上に、設定やら何も説明せずに始まりますが、それでも良ければお楽しみください
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お題「月」
『月が綺麗ですね』、なんて
キザったらしい言葉を考えたやつは一体どんなに自分に自信があったのだろう。
「ILoveYou」の方が余程一直線で、俺は其方の方が幾分か好きだ。
ぼんやりと考えながら夜空を見上げていると、隣にいたやつもつられたように空を仰いだ。
「『月が綺麗ですね』、って」
「は?」
「今日古文の授業で○○先生が話してたろ」
何気なく紡がれた「ILoveYou」の言葉は俺に向けられたものではなかったらしい。
胸が痛まないわけではないけど、もうこんなの慣れっこだ。
「誰だっけ、夏目漱石?この言葉作ったの」
「お前ちゃんと授業聞いとけよ…」
「聞いてた!それ言ってた○○先生がかっこよくてさ、他に集中できなかっただけ」
ほんとに好きなんだな、と問うと力のない「すき」の言葉が返ってきた。
「知ってんだろ、あの先生」
「知ってるよ。可愛い彼女がいて、薬指には婚約指輪があって、来月結婚するらしくて。幸せそうで何より」
こいつが分からないはずがない。
今日あいつを「プロポーズの時そんなこと言ったんすか」と大声で揶揄った張本人なのだから、知らないはずなんてないんだ。
「先生のカノジョ、羨ましいな…………」
滅多に弱音を吐くことのないこいつの呟きを、俺は今日も聞き流す。
『月が綺麗だねと君が言う相手はきっと僕じゃない』
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お題「雷」
天気予報はあてにするものじゃない。
晴れ、だなんてキャスターさんが笑顔で言っていたのに対して空はどんよりと雨雲に覆われている。
おまけにお昼頃から雨まで降り出すしまつだ。
どうやらきょうはカミサマの機嫌が悪いらしい。
外なんか滅多に出ない僕たちにはそんなに関係はないけれど。
「うわ、雨じゃん」
後ろから聞こえてきた嫌そうな声に振り返る。
「ね、雨だね」
「最っ悪。明日俺打ち合わせあって外出ないといけないんだよなー、明日まで降ってんのかな」
「さーね、天気予報では明日は快晴って言ってたよ」
まあ今日も快晴って言ってたけど、と付け足すと呆れたようなため息をつく。
「天気情緒不安定かよ」
「キヨみたいだね」
「なんだそれ」
細身の身体が窓に近づき、外を覗き込む。
濡れるからやめなよ、と声をかけようとした時、いきなり強い光が辺りを覆った。
キヨの端正な顔が暗がりに浮かび上がる。
がちゃん、と僕の持っていたマグカップが足元で大きな音をたてた。
「らーひー、?……あぁ、お前雷苦手だっけ」
「…ちょ、っと…………むり…か、も」
ごろごろと唸る音なんか聞きたくないのに、手で耳を覆うこともままならない。
足の力が抜けて倒れそうになったその時、誰かに抱きとめられる感覚がした。
「…き、よ」
「そこで倒れたら破片危ねーよ。大丈夫か、ひら」
「ごめ…割っちゃっ、た……これ、キヨの」
「いい大丈夫、また買えばいいから。」
そのまま肩に腕がまわされ、キヨに軽く体重を預ける体制になる。
「歩けるか?ここより実況部屋行った方がいいぜ。音聞こえないだろ」
「っ、ごめ…」
「いーから気にすんなって」
素直に甘えさせてもらい、明るい廊下をゆっくり歩く。
やっとの思いで実況部屋に着くと、キヨは水を取ってくると言って部屋を出て行ってしまった。
ばたりと閉じられた扉の音がしたっきり、何も聞こえない。
いや、違う。耳を澄ませば微かな水音がした。
窓が少し空いている。
窓を閉じようとカーテンを捲った時、
ぴかりと空が光った。
「……………かみなり、ねえ」
「ありがと、きみには感謝してるよ」
「僕は『怖がり』で、『守ってあげたくなるやつ』だからね」
「…キヨが戻ってくる前に閉めないと」
カチリと窓に鍵をかける。
カーテンは閉めずにそのままに。
『騙してごめんね』
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お題「お菓子」
「れとさーん、いる?」
玄関の方から無駄に元気な声がして、ドアが開かれる音がした。
ドアを開ける前にまずはインターホンを鳴らしノックをするという常識を彼は知らないのだろうか。
「あんなぁ、おれんちをなんだと思ってんの」
「わり、近くまで来たから寄ろっかなって。れとさんもどうせ外出てないだろうしお腹空いたし」
「大衆食堂でもなんでもないんやけど。生憎おれはご飯食べたばっかだからなんもないよ」
えーー、と不満げに頬を膨らませるきよくんは幼稚園生のようにも見える。
「おれにもご飯作ってくれよ、ハニー♡」
「きよくんはいつもおれの突っ込まれてんだからダーリンでしょ」
「うるせ、どーでもいいんだよんな細かいこと」
肩にかけていた鞄をソファの方に放って冷蔵庫をごそごそ漁り始める。
暫くうーんと唸る声が聞こえた後に、嬉しそうな声が響いた。
「れとさーんチョコ貰っていいーー?」
「チョコ?ああキヨくんが買いためてたやつね。ええよ」
アソートチョコレートの袋を抱え、にこにこ顔でキヨくんがおれの隣に座る。
たまにこうやって食べに来たりするから、冷蔵庫を占領する大量のチョコレートを未だに捨てられない。
「キヨくんおれにもいっこちょーだいよ」
「え、やだ。これ俺のチョコ」
机の上に広げられた大量のチョコレートが俺から守るように遠ざけられる。
苺のチョコレートを咥えたキヨくんが、取ってみろよとでも言うようににやりと笑った。
「ん、じゃ遠慮なく」
「は?…ちょちょちょ、待ってまって…んん゛!」
誘ったのはキヨくんなんだから、おれは何も悪くない。
舌を無理やりねじ込みピンク色のチョコレートを奪う。
唇の横に付いたそれを舐めとると、ぴくりとキヨくんの眉が動いた。
「…苺まだまだ残ってんのになんで俺の取んの」
「生意気だったから。一応言っとくとおれはキヨくんの誘いにのっただけ、ね、わかる?」
口の中の甘味を飲み下しキヨくんへと手を伸ばす。
これから自分がどうなるのかを予想したであろう彼の頬が引き攣った。
『チョコレートだけじゃ足りないなあ』
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いかがでしょう、短編!
私の中ではこれが短編です長いとか言わせません。
お題を出してくださった皆様、ありがとうございます…!
『雷』に関してはもはやkyhr…お許しください。
ただのハッピーエンドに終わらせたくない私の持病でございますサザエでございます。
ぜひまたリクお願いします待ってます、!
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