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恋と微炭酸ソーダ(mf→ky→sr)
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※歌い手様が出てきます、苦手な方は自衛お願いします
※色々現実と食い違う部分があると思いますが、そこはお許しください。
────まふまふ視点────
曲を作る時は部屋に籠る。
ギターを手に、頭に浮かんだコードを入力し、消し、入力し、消し、その作業を何十回か繰り返した後に、ようやく曲のベースができ上がる。
歌詞を作る過程でメロディも自然に思い浮かぶことが多く、普段は息詰まることのない作業なのだが。
「はー………出てこないなぁ…」
どうも今日は調子が悪い。
スケジュール的にも詰まってるし、日付を越す前には何とかしたいと思いつつも、何もアイディアが出てこない。
柄でもなく恋愛ソングなんて引き受けるんじゃなかったなと今更後悔しそうだ。
そもそもろくな恋愛経験のない僕に作れと言うのもおかしな話で。
それに加えて、この歌詞はなんなんだと頭を抱えたくなる。
3年程前に衝動的に書きなぐったメモを引っ張り出して考えるはいいものの、どんな気持ちでこの僕は書いていたのか全く分からない。
確か彼と仲良くなってすぐの夏の話だっただろうか。
ぼーっとグラスにそそがれた炭酸水の泡が消えていくのを眺める。
それにも段々飽きてきて、作業を諦めヘッドホンをとった瞬間、
ぴんぽーん、とインターホンがなった。
あれ可笑しいな、誰も呼んだ覚えはないんだけど。
頭を捻りつつドアを開ける。
「はーい…」
「よ、まふくん元気?」
玄関先には思いもよらぬ人がたっていて、
突然頭にメロディが溢れた。
段々速くなる鼓動と溢れる音に、思いもよらぬ客人に、彼の笑顔に、ぱちぱちと視界の端に泡が弾けて消えてゆく。
「…まふくん、?なぁ聞いてんの?おーい」
「え、いや、なに?てか突然どしたの、キヨ」
誤魔化すように速くなった口調は気づかれただろうか、
「んーたまたま打ち合わせで近く来て、もう家帰ってもやる事ねえし暇つぶしかな」
お前もどうせ暇だろ、スマブラやろうぜ、とにやりと笑って彼が言う。
「…僕ねえ、一応作業の途中だったんだけど」
「えーまじ?邪魔できねえやつ?」
「まあいいよあがってって。散らかってるけどそれでもいいなら」
「よっしゃさすがまふくんだわ、れとさんとかなら追い出されてるもん」
「寛大な僕の心に感謝しなよ」
「へーへーありがとうございますーっと」
メロディは浮かんだし、少しぐらい遊んでもバチは当たらないだろう。
リビングにキヨを招き入れ、作業を止めるため一旦パソコンの画面を暗くする。
グラスに炭酸水を入れて出すと少し嫌そうな顔をされた。
「綾鷹ねえの?」
「僕んちをキヨで侵食しないでくれます?」
「もはや俺ん家みたいなもんじゃん」
あの頃は僕が買ったラムネを美味しそうに飲み干していたのに随分と図々しくなったものだ。
リビングに散らかった歌詞のメモを広い集める。
僕が作る恋愛系の曲は全て1人を題材に作られていて、流石にこのメモたちを本人に見せられるほど気は大きくない。
見られたくない物から片付けたのに、それを知ってか知らずかキヨがそのうちの1枚をとりあげた。
「あ、ちょっと…」
「なにこれ……歌詞?曲の?」
「まぁ、ね」
ふーん、と適当な返事をしながらキヨがまじまじと紙を見つめる。
丁度今考えていた曲のサビのフレーズのメモだった。
「『あのね 嫌いになってもいいから 君を嫌いになってもいいかな』」
「読み上げないでちょっと恥ずかしいから、!」
「いつもみたいにギターギュイーンって感じの曲?」
確かにここのフレーズだけだとそうも聞こえなくもない。
残念ながら今回の依頼は「青春系の恋愛ソング」だ。
「んーん、恋愛ソング」
「恋愛?珍しーな、あれ?そらるさんとのやつ?…アフターヌーンティーみたいな」
「After the Rainね。アフターしか当たってないよ」
「雰囲気あってるだろ」
「全然違いますー」
俺好きだよ、とキヨがぽつりと呟く。
炭酸水のグラスが氷を溶かし、からりと音をたてた。
「…好き、って…なにが」
「まふくんとそらるさんの曲。After the Rainの曲」
「聞いてくれてるんだ」
「そこそこ。」
原曲より2キー程下をキヨが口ずさむ。
…数年前に僕がキヨといる時に作った曲だった。
『君に届け 月夜二袖シグレ』
サビの最初でも曲の最初でもなく、サビの途中から歌い始める変なセレクト。
理由はとっくにわかっている事だ、そこを歌っているのは僕じゃない。
僕を見ているようで、キヨの視線は僕をすり抜けて僕の相方へ向かっている。
「…桜花、キヨ好きだよね」
「俺こーゆー感じのまふくんの曲すげえ好きだよ」
違うでしょ、君が好きなのは僕の歌を歌うそらるさんだ。
それが分かってしまうから、僕の曲はハッピーエンドには行き着かない。
失恋前提かよなんて文句を言わないで欲しい。実際実らないんだからしょうがないじゃないか。
「……んで?そのメモはなんなの」
「夏祭りの曲、かな」
「夏祭り?…あー…何年か前に俺達も行ったよな、祭り」
思わぬ台詞に片付けの手を止める。
「え、覚えてんの?キヨのことだしすっかり忘れてるかと」
「失礼だなーちゃーんと覚えてるぜ?他の奴らと遊びに行った帰りだろ」
3年前、たまたま帰路が同じだった僕達はこれまたたまたま近くでお祭りをやっているのを見つけて、
少し暇を潰しに一緒に祭りをまわったんだ。
ラムネを飲んで、あとは少し花火を見て帰っただけだった。その夏の日に、僕はこの歌詞を書いた。
『冷えた夏色 飲み干してる間に
君が顔色見落としてる間に
苦し紛れのタイミングじゃ 言えない』
ああそうだ言えなかったんだ
告白するなら絶好のチャンスだったのに
彼が俯きがちに「そらるさんともゲームしたいな」なんて言うから
ラムネがぴりりと喉を痺れさせ、1度息が出来なくなった。
歌詞のメモをくしゃりと握りしめる。
「『長い黒髪は変わらずにいますか』…まふくん黒髪好きだな、さっきのも『黒い髪と華奢な肩』だったろ」
他のメモをキヨが読み上げる。
「…最初は黒髪じゃなかったんだけど、みんなに黒髪がいいよって言われて直した」
「ふーん…俺も黒髪がいいと思うぜ」
興味なさげに呟いてキヨがメモを僕に手渡す。
『長い黒髪は変わらずにいますか
他の誰かを愛せていますか
あの夏色の下』
彼が好きな人も黒髪だっけ。
『もしもあの日に巻き戻せるなら
もしも少し胸を張れるのなら
なんて今さら本当に 言える?』
言えない。好きな相手が僕の相方で、更に両想いなら言えるわけがない。
『息をするほど苦しくなるような
生きることすら虚しくなるような
何年でも覚えたての気持ち
青いビー玉炭酸塞いだ』
キヨと会ってから可笑しいぐらい音が溢れてくる。
ふつふつと溢れてはすぐに消えていく、そんな淡い音。
塞ぐことのできる青いビー玉なんて僕は持ち合わせていない。
「ねーえまふくーんそろそろゲームしようぜーー!」
等の本人は飽きてしまったようでもうコントローラーの準備を初めていた。
分かった片付けるね、と返事をしてペンを持つ。
最後残っていた空白に今思いついた歌詞を書き込んだ。
「まふくーーーーーん!!!!」
「はーい待って!!!キヨ炭酸水飲む?入れたから飲んでよ」
いつの間にか我が家のキッチンに住み着いたキヨ猫のマグカップに炭酸水を注いで渡す。
「ええ、いいよ俺…手持ちの綾鷹あるし」
空になった俺のグラスを見てキヨがグラスを押しかえした。
夏祭りの時と同じように、ひとくちだけ飲んだ微炭酸を僕に押しかえす。
その動作ひとつひとつに胸が苦しくなり、どうしようもなく泣きたくなるのはどうしてだろう。
『群青ソーダ転がった
3年ぽっちの感情は
一生経ってわかっていく
大切なものだったんだ 』
藍色のグラスの色が、それと対象的な彼の赤色が、乱反射してきらきらと光るラムネと重なった。
「…キヨ、」
「んあ?なにー…ゲームしねえの」
「聞いて欲しい曲があるんだけど、…音源出来たら聞いてくれない?」
「いいけど珍しいな、俺の意見なんて聞いて参考になるのかよ」
「とりあえず聞いて欲しいの!」
「ふーん…なんて曲?」
「叶わない恋の曲、片想い、の」
『あのね
嫌いになってもいいから
君をずっと好きでいいですか
気の抜けた恋と微炭酸 』
「曲名は、『恋と微炭酸ソーダ』」
end
──────────────────
ごめんなさい、衝動的に書きたくなったんです。
雨上がりのお2人とキヨさんの小説少なすぎるんです!!!
このカプを増やしたいので私が布教してきいます。
同業者でもなく、ただの友達という関係性だからこそいい所が沢山あるのです。
そらるさんに関してはリアルの絡みが少ない分可能性が無限大というか。
とにかく素晴らしいよ、ってことを伝えたくて、!!
増えないかなあ…このカプ。
勝手ながら意見を申し上げさせていただきますと、まふまふさんは純粋攻めです。
ヤンデレも似合うかなとは思いますが、私の中ではヤンデレはヒラポジションです。
そらるさんは歌い手界の中では受けだけどキヨさんとくっついた瞬間かっこいい年上攻めです。
キヨさんとくっつくと誰でも攻めになる、これは暗黙の了解でございます。
ほんとに…まふキヨそらキヨはいいですよ……小説増えませんかね………
さて、今回はまふまふさんの「恋と微炭酸ソーダ」という曲をテーマに書かせていただきました。
曲パロだとどうにも分かりにくい文になってしまって申し訳ないです…
題名のとおり、キヨさんはそらるさんのことが好きで、そのキヨさんにまふまふさんが片想いしている設定です
本家の歌詞に
『群青ソーダ転がった
3年ぽっちの感情は』
『長い黒髪は変わらずにいますか
他の誰かを愛せていますか あの夏色の下 』
というパートがあって、
3年前に一緒に行った夏祭りで告白出来なかったことを引きずっている、という設定にしました。
まふくんが書いた歌詞の『黒髪』も元々は『金髪』で、もう一方の『桜花月夜二袖シグレ』の『黒髪』も同様に初期のキヨさんの『金髪』だった、という作者の細かいこだわりもあります。
歌詞の中に出てくる『微炭酸』は3年前の夏祭りのラムネと、今現在まふくんが飲んでいる炭酸水を表しています。
まふくんの声と相性の良い透き通った曲です、ぜひ聞いてみてください!『恋と微炭酸ソーダ』です!
それと、更新長らく遅れてごめんなさい、テストからようやく戻ってきました!
これからまた更新頑張っていきます!
読んでいただけると嬉しいです…!
長いあとがきを読んでいただきありがとうございました、では次回ー!
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