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「どうされたのですか、天道様」
「どうもこうもない!!見損なったぞ!!天満!!!!!」
界域の境目で天満に掴みかかって大暴れするのは見たこともないような形相をした天道で。それを抑えにかかるのは直属として天道の傍に仕えていた正義(まさよし)であった。
正義が何があったのか問いかけようとも天道はそれに応える余裕など持ち合わせて居らず、胸倉を掴まれた天満もまた静かに瞳に怒りを宿して冷徹に天道を睨みつけているのだ。
一体、何があったというのか。
今にも月界に足を踏み入れてしまいそうな天道を無理やり天満から引き剥がしても尚、天道は掴みかかろうと正義の腕の中でもがき暴れる。その騒ぎを聞きつけて天満の直属で傍に仕えている善(ぜん)がポニテールに結った髪を揺らして走ってきた。
「これはどういうこと、正義」
「俺にもわからない」
互いに疑問しか浮かばない解決策のない状況。善が天満に問いかけても、天満は此方を睨みつけるばかりで応える気はやはりないようだ。
この騒ぎに僕たちが続々と集まって来て、其々が状況を把握しようとどよめいていた時だった。
「天道、わたしはお前を許さない」
「どの面下げて言っている、天満」
初めて口を開いた天満の一言に、直情的な天道の堪忍袋の尾が切れたのだ。
その瞬間――
地響きか、地鳴りか。界域では存在しえない音が轟きだした。
その不吉な音に僕たちは震えあがり、泣き崩れるもの、周囲を警戒するもの、神を心配するもの、固まり動けないでいるもの、其々がその場に身動きが取れずに恐怖と隣り合わせること一刻。
界域がふたつに裂け始めた。
互いの心が離れるのははっきりと目に見えるようなその様に、僕たちは言葉を失い茫然とその様子を見つめるしかなく、気が付いた時には互いの姿は見えなくなっていた。
「て、天道様……よろしいのですか、これでは天満様と……」
「お前たちももう用済みだ。離せ」
「は……?」
「落ちろ、あるべき場所へ戻れ。わたしの力は与えてやる、今までの礼だ」
――達者で暮らせ――
その一言と、ただ人差し指を下へ向ける仕草ひとつ。それだけで天道に仕え尽くした僕は皆、姿と力を貰う前の元の世界へと落ちていった。
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