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act.1 スランバー
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スランバー界のとある酒場。
この界域で一番大きく、昼夜問わずに賑わうこの場で周りに馴染むことなくひとり静かに酒を口にする男がひとり。
蒼い髪はゆるくウェーブを描き、その一本一本が、闇夜に浮かぶ星の様に煌めくのが人目を惹くようで、先程から多数の生命に声をかけられていた。
その度にゆっくりと動かす視線は桜色で、その妖艶さにまた……声を掛けたものは皆、色付いた声を出した。
「おー呑気におかえりか、正義(まさよし)」
「……」
「おい!無視するなよ!!誰のせいでこうなったと思ってんだ!」
「……俺のせいとでも?」
「お前らが選ばれたんだろうが!責任持って現状をどうにかしろや!」
其れ迄と一風変わった声の掛け方をしたのは、ガタイの良い男。
誰よりも大きな声をあげて正義と呼ぶ男に食って掛かるが、その正義自体は軽く交わし、聞く耳を持っていないようにも見える。
その態度が気に入らないのか、ガタイの良い男は正義に掴みかかり、今にも乱闘騒ぎが起こりそうな気配がしたときだった。
「ま、まささん!いつお帰りになったんですか!?ちょっと、シゲさん!まささんのせいじゃないでしょう!」
「なんだよ……俺が悪者か」
ここスランバー界は均衡が保っていた頃から貧困色の強い界域で、生命の楽しみは酒と奪い合い。
弱肉強食そのままに、弱いものは強くなるしかない、そういった場所であった。
そして均衡が失われた今、それは更に色濃くなり、弱いものは強くなるまで時間が持たず、命を失っていた。
ここに生息する生命の姿はネズミが多く、天道のせいで肥大化したモノと天満のせいで一部人型に変貌したモノが勢力を高め、逆に小さくなってしまったモノは皆この世を去っていた。
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