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act.2 ポーテアオ
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威勢よく旅を始めた正義。指令のヒントはただひとつ“星を集めろ”ということだけ。道標も全くないこの広い世界で小さな存在である正義が途方に暮れるのは意図も容易いことだった。
まる二日黙々と歩いてきた砂漠地帯が広がるスランバー界の果て、この先は隣接している界域であるポーテアオ界。
まるで空気が変わったかのような異空間が広がっている。霧の様な黒い靄に包まれた境界線は踏み込むことを躊躇うような不穏な様相で、手を差し伸べると柔らかな空気が纏うだけで冷たさも温かさもない。それはただ、詳細をひた隠しにする為だけの防壁のようだ。
正義は幼いころからフクロの背に乗りこの地へ遊びに来ていた。それは、幼馴染である牛と遊ぶためであり、周囲はその姿を異形として非難をした。しかし、その非難中傷は正義の心に届くことはなくただ友人と会いたいという気持ちで動いていた。
この事態になった今も、まずは友人に会おうと決めた正義の心は少年時代から何一つ変わってはいなかった。高温地帯であるスランバー界を己の足で歩んできた正義の額からは大粒の汗が流れ、顔は既に水を浴びたような様だった。服も身体にへばりつき、靴は砂まみれ。それでも、正義の瞳は強く光ったままで強い意志が宿っていた。友人に会うと決めた時から、遠くに感じていた事を手元へ引き寄せていたのである。
正義は迷わず不穏な見た目の境界線を踏み出した。
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