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俊凌 ※凌くんが病弱設定です (シリアスバージョン)
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凌side
朝、目が覚めると、俺の隣で俊が寝ていた。昨日俺は、疲れて寝てしまったみたいだ。
俊、目の下にクマが出来てる……………
ずっと、俺の話を聞いてくれてたんだもんな…………………
俺は、俊の頭をそっと撫でた。
「んん……?にぃちゃん…………おはよぉ〜………………」
『おはよう、俊』
「体調はどう?」
『昨日より、全然いいよ』
「そっか、よかった」
そんな他愛もない話をしている時に、俺はふと思いついて、俊に言ってみた。
『ねぇ俊、夜になったらさ、昔月を見に行った公園、行かない?』
「あの公園?別にいいけど…………体調は大丈夫なの?」
『うん、最後にもう1回、俊と月がみたくて。』
「…………そっか。わかった、いいよ。夜になったら、公園行こう。」
『ありがとう。』
「うん。」
─────────────────────
「にぃちゃん、大丈夫?歩ける?」
『バカにすんなよ?全然歩けるし』
「ごめんごめん、じゃ、いこ?」
『うん。』
俺たちは手を繋いで、公園までの道を歩く。
稲荷兄弟のことや、いなりすさんのこと、小さい時の思い出、家族のこと、正宗のこと、、みうのこと、そしてお互いのこと。
俺たちは色んなことを話しながら、歩いた。
その時間は、とても楽しくて、なぜか時が経つのが早くて。
このまま時間が止まればいいのにな、なんて思ったりして。
そんなことを思っている間に、公園に着いた。
「うわ、懐かし……………たしかここ来たのって、月を見た時以来だよね?」
『言われてみれば………そうだな。あ、たしかあそこ座って月を見てたんじゃなかったっけ』
「あー、そうだ!思い出したわ。」
『ってお前、忘れてたのかよ?』
「ごめんってw」
『まぁいいけどさ。あそこ、座ろうよ』
「うん、そうだね」
ザァァァァァァ…………………
『風が気持ちいな』
「うん、涼しいね」
俺たちの間を、心地いい風が吹き抜けてゆく。
『俺さ、すっげー幸せだった』
「うん」
『この家に生まれて、家族に愛されて育って、俊が生まれて、ケンカして、仲直りして、YouTuberになって、いつも応援して支えてくれる温かいリスナーさん達がいて…………』
「うん」
『時には挫折したり、立ち直れないようなこともあって、死にたいと思うことも、何回もあった。でもその度に』
『俊が俺のケツ叩いて、腕を引っ張ってくれて、前に進ませてくれた』
「…………うん」
『…………俊、俺さ』
『こんな頼りないにぃちゃんだし、すぐキレるし、病むし、俊に迷惑かけるし、ケンカも沢山したけど』
「…うん」
『俺、お前の…………………稲荷俊のにぃちゃんになれて、よかった。』
「うん」
『お前は?』
「……………俺も」
「にぃちゃんの……………稲荷凌の弟に生まれて、ホントに幸せだよ」
『…………そっか。』
『俺、ちょっと寝るわ。横になっていい?』
「うん、いいよ。………いっぱいいっぱい………疲れたもんね。ゆっくり休みなよ」
『おう。...ありがとな』
「うん」
『大好きだよ、俊』
にぃちゃんは、そう言うと静かに目を閉じた。
少しだけ欠けた月が、俺たち2人を照らしている。
俺はその月が沈むまで、にぃちゃんの唇にキスをしていた───────
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