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鳴田将平という人は、僕の元恋人だ。
彼こそが、僕の右腕に傷をつけ、人との関わり方を変えてしまった張本人。僕は昔は、人を信じることが出来たし、今よりもっと明るかった。
彼とさえ出会わなければ。
今でも時々夢に出てくる。口の端に嘲るような、意地悪そうな笑みを浮かべ、蛇のような目は僕を射止めて離さない。とても、怖い。
最初はとても優しかったんだ。
将平と出会ったのは、高校生の頃──
僕が高校一年生として入学した時、彼は高校三年生で生徒会長を務めていた。
新入生への挨拶をしているのを見たのが、彼との初めての出会いだった。
漆黒の髪に切れ長の目、瞳孔は蛇みたいに縦長だった。鼻が高くて形の良い唇。
かっこいいなぁって、純粋にそう思った。
目が合うと、彼はふっと微笑んだ。それが本当に嬉しくて。気付けば四六時中彼のことを考えるようになっていた。
彼との接点が欲しくて、生徒会に入った。彼は生徒会長で、僕は書記だった。一緒に仕事をするのがこれ以上ないほど幸せだった。
彼はとても優しかった。僕がミスをして副会長に叱られた時も、フォローしてくれたし、僕の仕事も手伝ってくれた。
ごめんなさいって言ったら、いいよって笑って頭をポンポンと撫でてくれた。
やがて僕達は親友になった。家族には言えないような悩みも、彼にだけなら打ち明けることができたし、僕の両親も彼のことを信頼してたからいつでも泊まったりしてよかった。
ある日僕は勇気を振り絞って尋ねた。
「僕のこと、どう思う?
その…恋愛対象として……」
彼は一瞬驚いたような顔をしたけど、優しく笑って言った。
「愛してる」
僕は天にも登る心地だった。
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