アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
33
-
将平side
居所を探すのに一年かかったとは言ったが、実際はもっと早かった。
奏から戻ってきてくれるという期待が少しはあったからだ。しかし待てど暮らせど一向に帰ってくる気配はなく、痺れを切らして奏の家を訪ねた。
久しぶりに見たあいつは全然変わってなくて、安堵した。
しかし、それも少しの間だけだった。奏の会社の後輩が、訪ねてきたのだ。あの目は奏に好意を寄せている目だった。
怒り狂った。奏は俺のもんなのに。
それで俺は執拗に痛めつけた。もう二度と他の男を誑かしたりしないようにと。
…しかしそれでも、奏は逃げ出した。
あいつのスマホのGPSを追跡して、辿り着いたのが、奏の後輩の男の家だった。
奪われてたまるもんか。
そう思った。
奏を連れ帰り、もう誰の目にも触れないように閉じ込めてしまいたいと本気で考えた。
しかし……
力ずくで奏を取り返そうと思った時、奏は叫んだ。
──嫌いだ……!
最初は何を言っているのか全く理解できなかった。だが徐々に頭が冴えていくにつれて、その言葉の意味と、重さを感じた。
俺は、奏に嫌われてしまったんだ。
「あぁ……そうかよ…」
それを言うのが精一杯だった。平然を装って、俺は家を出た。
「……最悪」
夜風が頬を撫でて、空を見上げるとなぜだか泣けてきた。
そりゃそうだ。俺は自分のことばっかり考えて、奏に恐怖しか与えてこなかったんだから。嫌われて当然だとしか言えない。
もっと俺に心の余裕があれば、今でも一緒に笑っていられたのだろうか。もっと奏のことを信用してやっていれば…。
どこで間違えたんだろう。俺の感情は紛れもなく愛だった。心の底から奏を愛していた。
……なんだ、俺は、愛し方を間違えたのか
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
34 / 60