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音原side
仕事が終わり、定時になるやいなや僕は猛スピードで会社を飛び出し、奏さんの家に向かった。
途中のコンビニで色々買って、レジ袋をぶら下げて、彼の家のインターホンを押した。
「お、音原くん…どうしたの?風邪、伝染っちゃうよ……ッゴホ」
ドアを開けて家に迎えてくれた奏さんはマスクをしていて、咳き込む度に涙目になっている。
「奏さん大丈夫ですか?ご飯食べました?」
リビングに入り、机に荷物を置きながら尋ねると、彼は首をフルフルと横に振った。
「じゃあ僕作ります。奏さんは寝ていてください」
「あ、ごめん……ありがと…」
奏さんはうつむき加減に礼を言った。
そういえば家までは一度来たことがあるけど、中には入ったことなかったっけ。
それにしても、綺麗な部屋だ。マメな人なんだろう。
「奏さん、寝ないと熱が下がりませんよ」
僕のためにお茶を入れようとしている奏さんに向かって、苦笑して言った。
お茶なんて必要ないのに。可愛いなぁ。
「で、でもお客さんだし…」
戸惑うように言う奏さんが小動物みたいで可愛い。
「はいはい、さっさと寝ましょうね」
そう言って奏さんが持っているコップをさっと取り上げた。
「あっ、」
「ほら、どうぞ」
お茶を入れて奏さんに手渡すと、彼はおずおずとした様子でゆっくりとそれを口に運んだ。
「…ありがと」
飲み終えて彼はそっと微笑んで、背中を丸くして寝室へと入っていった。
さて、じゃあ僕はお粥でも作りますか!と、袖をまくった。
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