アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
花鳥風月の蝶9
-
その間、禿はせっせと部屋の掃除やら、なんやらを済ませている。
「…花魁は、今日もお綺麗ざんすな」
髪の結い上がっていく太夫をみて、新造が後ろからそう言う。
「おい、どうした?なんもでねぇぞ」
はははっ
と太夫は笑った。
照れ隠しをしてはいたが、機嫌は良い。
「ほんざんす」
新造は、じっと太夫を見つめている。
花街で、唯一の男娼の妓楼で、
初めて太夫になった彼は、妓楼の中では羨望を集めている。
地獄太夫に嫉妬心を剥き出しにするものは少なく、
いつの間にか、さらりと去なしてしまう。
遊女でさえ、ため息がでるほどの美しい顔立ちに加え、
囲碁や将棋等の武芸にも長けていて器量も良い。
しかも、面倒見も良いので、彼を敵視する者はそもそもいないのだ。
ただ、彼が地獄太夫として衣を着ている時の話だ。
「聞いたか?夜蝶!オレの新造は、本当に間夫ばかりだと思わねぇか?」
夜蝶は、やっと太夫の髪を結い終える。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
10 / 26