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苦界の蓮華5
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その頃、郭では地獄太夫に客がつき、
座敷へ入ってしまった事から、人だかりが徐々になくなりつつあった。
地獄太夫は、見世から奥へ入る。
馴染みが着くまで、茶でも引いて転がしてやれば良い。
そんなつもりで、太夫が客の待っている部屋に通される。
禿と新造を従えて、部屋に入ると、御仁は静かに座っていた。
そして、地獄太夫の姿をみて『おおっ』と頬を緩める。
太夫は、座ったまま状態で開けた襖の側に座り、そこから動かない。
用意させた酒とつまみは、
禿と新造がせっせと部屋に運び、そして男に酌をする。
地獄太夫は、じっと1寸ほど先の畳を見つめ、
頬を少し緩めて何も話さない。
「…俺は、一休 宗純(いっきゅう そうじゅん)だ」
どうせ、主としか呼ばないのだから、名前を覚えるだけ無駄だ。
ああ…まぁー…
手紙を送る時には、必要だから一応覚えておくか。
片隅にでも。
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