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苦界の蓮華7
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禿と新造は、訳が分からず、首をひねっていた。
「宗純様…」
初めての客の名前を呼ぶなんて、珍しい。
禿は、太夫を見た。
「わちきに、させておくんなんし」
更に、自分から進んで宗純の側へ行くと、
新造の持っていた酒の瓶を奪って宗純の猪口に酒を注いだ。
太夫は、しっかりと芯があるように座り、凛として顎を引いている。
「…」
新造は、滑らかに動く花魁に気圧されるように側を離れると、
近くで2人のやり取りを見つめた。
こんな珍しい事は無いと、新造も禿も驚いていた。
この妓楼で最高位にして、
花街でみても唯一の地獄太夫が、
言葉遊びで打ち解けた御仁を見たのは初めてだったからだ。
この男は、一体何者なんだろう…
太夫と宗純以外、皆そう思った。
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