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苦界の蓮華12
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禿が声を上げたのは、
地獄太夫の馴染み客が到着し、太夫を呼んでいるという事を告げたのだ。
絹の擦れる音が、妙にはっきりと耳に残り、
心にぽっかりと穴があくような虚無感に襲われる。
「花魁っ」
太夫が部屋を出る瞬間、
焦って思わず名前を呼んでしまう。
花魁はしなやかに振り返る。
「言いなんすな」
地獄太夫は、人差し指を唇に当てて小さな声でそう言った。
咄嗟に、その色気にごくりと唾と言葉を咄嗟に飲み込んでしまう。
その仕草と言葉に、この日1番の色気を感じた。
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