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初任務②
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初任務でキルシュのモテ事情をカノから聞いてから宝はモヤモヤしたままだった。決してあの男が好きとかそんな乙女な気持ちではないが、恋人でもないのに人の身体を好き勝手されたくない。
家でもなんとなく勤務時間がズレてるとか、仕事に疲れた早く寝るとかでキルシュを避けていた。
「ハッ!なんかケンタッキー夫婦みたいになってる」
「何言ってんだお前」
朝食を一緒に取りながら突然宝は思いつく。正確には倦怠期と言いたいが、あまり突っ込んでほしくない話題なので口を閉じる。
「なんでもない・・・」
「宝、最近俺のことなぜ避ける」
「えっ、なんのこと・・・あっ!?」
「なぁ」
「あ、んっ、何して・・・ッ」
テーブルの下ではキルシュの長い脚が宝の股間をまさぐっていた。朝からそんな変態じみた事されたくないので、宝は拒絶の言葉を発する。
「んっ、あ、や、ッ、やだ!」
バチッ
「ぐっ!!!ーーーーッは」
宝の拒絶の言葉で、キルシュの心臓の魔法陣が発動され朝から盛大に火花が散る。キルシュは机にダンっと拳を叩き付け痛みに耐える。
「ッ、宝、このクソ奴隷。今から出勤できなくするぞ」
「はぁはぁ・・・俺は奴隷じゃない。というか前から聞こうと思ったんだけど、【使い魔】ってなに?」
「・・・ふぅ」
キルシュは気を取り直してタバコを手に取り一服すると、あまり語らなそうに口を開く。
「使い魔ってのは、魔術師が使役する事ができる存在だ。まぁ役割は色々あるが、単純なお遣いから戦闘までこなす個体もいる」
「お遣い・・・ニンジン、買ってこいとか?」
「バカか」
「むっ。というかキルシュって魔術師なんだな」
「今更だな。魔術師は東京事変から覚醒した異能力者みたいなもんだ。魔法陣から鎖出すだろ?俺は【ジャッジメント】と呼ばれる系統の魔術師、制約の代価で魔術を扱う」
「代価?なにか使ってるの?」
「・・・」
「だんまりって事は言いたくないルールか」
「人には触れてはいけないパンドラの箱がある、覚えとけアホ奴隷」
東京が蜃気楼に覆われる東京事変から、魔術師と呼ばれる人間が覚醒したり出現したりという話は知っているが、そもそも魔術師自体が何なのかは宝はほとんど知らない。とりあえず魔術師=スーパーマジシャンと思う事にした。
「じゃあ、ニンジン買えない使い魔って具体的になにするの?お一人様一個の特売品とか使い魔に命令できないよ」
「・・・使い魔ってのは魔術師の魔力の糧だ。魔力をやって本領発揮するのもいれば、魔力をもらって力を引き出す魔術師もいる。お前は後者だな」
「え、そうなの!というかいつ俺、キルシュに魔力あげてるの?」
「セックスの時とか」
「・・・・・は?」
「セックスの時中出ししてお前の中で魔力溜めて、またセックスした時にお前の精液から魔力引き出してる」
「・・・・・な、なんだそれはー!!!!」
「ギブアンドテイク」
つまり宝の中で美味しく煮込んだ魔力を熟成したら美味しく頂いていたのだ、この変態魔術師は!
「お前をオークションでひと目見てから、俺の糧になるに相応しいと思ってな。半人半魔の希少種なんて滅多にお目にかかれないし」
「そんな事のために・・・」
「何回も言うがお前が別の人間に買われてたら、こんな三食昼寝付きで生活できなかったからな」
「実家に帰らせていただきます・・・」
「おい」
「実家に・・・」
宝は呼び止めるキルシュの声が聞こえていないかのように、実家と称して警備部に出勤した。
警備部先でカノがどうしたのと心配してくれるが、それもあまり聞こえていなかった。自分が餌のように扱われていたのを知って、オークションで救ってくれたキルシュとの美しい思い出が粉々になっていく気がした。
「一緒に生きるとかプロポーズのような恥ずかしい言葉まで交したというのに・・・いや、全然キルシュのこと好きとかじゃないんだけど」
「え、そうなの?宝、キルシュさんの事好きだったの?」
「え、はっ、え!?いや、ぜんぜん!」
いつの間にかというかずっと着いてきたカノに独り言を聞かれた。
「でも男女問わず取っ替え引っ替えみたいだし、飽きたらポイだからオススメはしないなぁ」
「飽きたら、ポイポイ・・・ポポイ」
「ポ多すぎない?なぁ、本当に大丈夫か。熱でもあるんじゃないか」
カノは宝の額に自分の額を当ててみる。すると後ろから低く不機嫌な声が名前を呼んだ。
「宝」
「あ、・・・キルシュ」
ズカズカと不機嫌な顔で近付いてくると、カノの襟首掴んで放り投げる。カノはよろけるが踏ん張りキルシュに文句を言っている。
「なにすんだよ!」
「だまれ、クソガキ。勝手に宝に触るな」
「っ、キルシュ、乱暴はやめて」
「じゃあお前が代わりになるか」
「うっ」
前髪を乱暴に掴まれ壁に押し付けられる。そのままネクタイを無理矢理解かれ制服のジッパーまで下げられた。
「な、なにするっ」
「ここでお前を犯す。カノに見てもらえ」
「む、無茶言うなよ」
「俺は構わない。さっさと脚開けよ」
グイッと膝を割られ脚を開かされた宝はますます羞恥で真っ赤になる。
「うっ、やっ、やめろ!」
バチッ
「ぅぐっ!」
またしてもキルシュの心臓の魔法陣が発動し、がっくりと床に座り込むんだ。わかってやっていたのだろうか。だが毎回これをされるとさすがの宝も、気が気でない様子だ。
「そうなるのわかってやってるの?」
「・・・だったらなんだ」
「いや、そういう趣味なら別に・・・いいんだけど」
「お前、使い魔になるって居残ったんだから俺のやる事くらい少しは妥協して受け止めろ」
「お、俺、餌じゃないし・・・」
「餌ってなんだ、誰もそんな事言ってねぇだろうが、あ''ぁ」
「ひぃっ!ごめんなさい!俺が勝手に勘違いして・・・その・・・ッ」
いつもと違うどすの聞いた声がキルシュが本気で怒っているのだと伝わってくる。確かにキルシュは宝を餌とは呼んでいない。勝手に解釈したのは宝だ。
これ以上ギクシャクしたくない宝は素直に謝る。そんな怯える宝が可愛すぎて今すぐ本当に犯そうかと思ったが、楽しみは後で取っておく事にした。
「はぁ・・・とりあえず話はまた後だ。俺はこれから任務に出かける」
「どこ行くの?」
「また14区で例の誘拐騒ぎがあったから調査」
「そうなんだ・・・気を付けて」
「お前、その格好早く直せよ」
「?」
宝は指さされた自分の制服を見下ろすと、キルシュが勝手に乱しまくった衣服が全開な事に気付いて慌てて着直した。キルシュは宝の髪をサラッと梳いてその場を離れて行った。
「大丈夫か?なんか、ワリィ・・・」
「いや、大丈夫!大丈夫!いつものキルシュの悪ふざけかな、ハハッ!」
「そうか?」
「うん、うん!あ、そうだ、今日俺達って何するの?」
「午前中は内勤で、午後は見回りだけど14区行ってみるか?」
「え、大丈夫なの?」
「まぁあんまり動き回らなければ大丈夫だろ」
カノは午後の14区見回りを國千歌に申請してみた。國千歌は一瞬迷うがこれも経験だと申請を許可した。
かつて江戸川区と呼ばれた、第14区は割と24区に近いのでそこまで危険地帯ではない。ここ最近男女問わず誘拐され戻って来た当事者はほとんど何も覚えてはいないが、何か気持ちいい事をされたのは覚えていた。ただどこで誰とが思い出せないらしい。また新たに誘拐された当事者が現れ聞き込みにキルシュは向かっていた。
だが今度の当事者はいつもと違っていた。訪ねた部屋の中で誘拐された男性が気絶していた。尻からは何かが這い出たように白濁と殻が散乱し、それは外へと続いていた。
「何か14区に居るぞ。クソっ」
キルシュは、グシャッと空っぽの殻を踏み潰した。
一方そんな事が起きているとは知らない宝とカノは午後になって、14区に見回りに来ていた。区内はこれといって普通の様子であと少し見たら帰ろうとする。だが路地裏で悲鳴が聞こえ、二人が駆けつけると女性が倒れていた。
「どうしました!?」
「うっ・・・突然足を引っ張られて」
「足?」
女性の足には透明な液体がまとわりついていた。触るとネバネバとしていて香水に近い変な匂いがする。
「なんだこれ、気持ち悪い」
「次元の存在か、ちょっと見てくる。宝はここに居てくれ」
「う、うん」
カノは警棒を手に周囲を探りに行った。残された宝は女性と待つ事にする。だが後ろから嫌な気配を感じ振り返ると、そこで宝は意識を失った。
「何も居ないかな、とりあえず戻るか」
周囲を確認しに行ったカノは何も見当たらないので戻る事にした。だが途中顔色を変えて走って来る女性と出くわす。
「あれ?さっきのお姉さん、宝は?」
「た、大変なの!あの子が化け物に連れてかれちゃった!」
「え、ええ!?化け物って」
「私も一瞬だったからわからないけど、なんかすっごく長いの!緑色のウネウネしてた」
「・・・緑色の長い化け物。こりゃ別の武器が必要だな」
カノは女性を安全な場所に移動させると、警備部へと無線で連絡する。
「こちら、日向井カノ。14区にて誘拐事件発生、警備部警官の田中宝が何者かに連れ去られた。犯人は緑色の長い特異種の可能性あり。切断系の武器が必要、至急応援を要請」
『こちら警備部通信室。了解、日向井はその場で待機せよ』
「了解」
間に合えよとカノは宝の無事を祈る。
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