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6 常識が非常識 奏side
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温かい…ここ…どこ…?
…………っ
はっ!!ヤバい!!寝ちゃってた!!
急いで体を起こすと体に何か違和感があった。
何これ…白い布?
「おはよう、それ外しちゃダメだよ。寝てる間に手当てさせてもらった。」
手当て?この布のことかな?
「奏くん、どこか痛いところある?全部痛いかもしれないけど…痛いとこ指さして教えて、」
痛いとこ…
体の青や赤に変色しているところは痛いけど我慢できない痛みじゃない。
それに、もし痛いところを教えたら何されるんだろう?
幼い頃、親に脚が痛いと言ったら骨を折られた。
痛い時はもっと痛くしたら初めの痛みは消えるんだって、
でも…でも…それを超える痛みを我慢できず泣いちゃってたくさん怒られた。
考えるだけで体が痛い…
慌てて首を横に振り痛くないと伝えた。
「ホントに痛くない?こことか、腫れてるから気になるんだけど、」
斗真さんが赤黒く腫れた肩を触ってきた。
痛いっ…でも…バレたら…
折られたくない…
唇を噛み痛みを我慢した。
「それやめな、唇噛むの…ほら血出てる。噛みすぎ」
斗真さんが僕の唇を触り傷を確認している。
「まぁいいや、ちょっとずつ治していこうな。
そういや、夕食食べれる?」
ごはん…食べたくない…
首を横に振った。
「そっか、ちょっとだけでも食べてほしいんだけど、
とりあえずこっちおいで、」
斗真さんの後ろを着いていくと椅子に促された。
戸惑いながらも半ば強引に座らされた。
「ご飯無理なら、これはどうだ?
ゼリーとプリンどっちがいい?」
どっちも要らない…
何も食べたくない…
何も言えずただ俯いた。
「じゃあ、俺と半分こな、」
え?半分こ?
「このプリン知ってる?駅前でしか売ってないんだよ。これ、俺のおすすめな。
お!!やっぱ美味っ!!はい、あーん。」
口の前にスプーンを出されるが口を開けることができない。
お腹は空いてる。でも…怖い…
斗真さんも食べてたから多分変な物は入っていないと思うけど…
「ほら、あーん。」
このままじゃずっとあーんされるのかな…
思い切って少しだけ口を開けると、少量のプリンが口に入ってきた。
少量でも分かった。濃厚で美味しい、
懐かしい味…この味…多分知ってる…
「な、美味しいだろ?」
斗真さんはドヤ顔でこっちを見ている。
そして、一口食べてからまた僕にあーんをした。
次は躊躇わずに口を開けた。
美味しい…
斗真さんと交代ごうたいで食べあっという間に無くなった。
「よし、ちゃんと食べれた。偉いな。」
頭の上に来た斗真さんの手を思わず振り払い身を屈めてしまった。
あっ…自分がやった事に気づいた時にはもう遅かった。
「あ、ごめんな。怖かったよな。」
違う…違う…ごめんなさい…ごめんなさい…許して…
言いたいのに掠れ声すらも出ずただ荒い息と共に口をパクパクする事しかできない。
「大丈夫だからな。叩かれると思ったんだよな。」
何も言っていないのに斗真さんは俺の行動の意図に気付いていた。
「これなら怖くないか?」
僕の手をそっと握った。
「どうかな?」
怖くない、その意味を込めて優しく握り返した。
でも何で?怒ってないの?
何度斗真さんの顔を見ても怒っている感じはしなかった。
怒ってない…本当なら安心できるはずなのに…
何故か胸がもやもやした。
「良かった。奏くんの手、温かいな。」
斗真さんの手も温かい。
大きくてゴツゴツしてるけど優しい手。
この手に、殴られたらどんな感じなんだろう…
痛い…よね…
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