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12 黒 奏side
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車に乗って数分、
外の人達が怖くて俯いていた。
「大丈夫だからな、買い物終わったらすぐ帰ろうな。」
斗真さんがパーカーを僕の頭に掛けてくれる。
昨日も車でこの服掛けてくれた。
フードで視界が狭くなると少し落ち着く。
目的地に着くまで俯いて我慢した。
「着いたぞ、」
その声で顔を上げ出ようとすると腕を掴まれた。
ビクッ!
「急に触ってごめんな、でも、奏くんの肩の力が抜けるまではこうさせてね。」
腕を引かれたかと思うと優しく抱きしめられた。
背中をさすられ、頭を少し押され斗真さんの胸に顔を当てる。
「そろそろ落ち着いたかな。」
5分ほど抱きしめられ落ち着いた。
「買い物行ける?怖かったら俺が適当に買ってくるけど、」
行く。口パクで伝える。
本当は怖い。行きたくない。
でも自分のお金は限られてるし、斗真さんに迷惑かけられないから行くと伝えた。
「そっか、分かった。でも無理したらダメだよ?」
頷き、
斗真さんに続いて車を出る。
平日だからそこまで混んではいないけど…
ゼロじゃない。
まだ1歩も歩いていないのに横を通る人の視線が気になって前を向くことができない…
「これ着ていこうか、」
さっきのパーカーを渡された。
フードを深くかぶって視界を狭くする。
それでも聞こえる人の声、足音…
頭がグルグルする…
まだ殴られていないのに殴られたように頭が痛い。
はぁ…はぁ…はぁ…………はぁはぁはぁはぁ…はぁ、
フードの上から耳を塞ぎ、その場にしゃがみこんだ。
行かなきゃいけないって分かってるのに…体が拒絶している。
息も上手くできず涙が溜まっていく。
「戻ろうか、」
ビクッ! ドンッ!
「大丈夫か?」
急に肩を触られ、怖くてバランスを崩し車に頭をぶつけた。
近寄ってくる人が誰なのか分からず頭の中が真っ白になり、そこを黒い絵の具が塗りつぶしていく。
来ないで、触らないで、怖い、もう嫌だ!!
必死に手を振り回し逃げようとするのに、頭を黒く塗りつぶすその人は僕を捕まえて離さない。
力が違いすぎて、抵抗しても抵抗できない。
必死の思いで大きく手をその人向けて振りかぶった。
「いっ……」
効果あったかな…
でも、黒い人は僕を離してくれない。
また、暗い世界に戻るんだ…
ふふっ…ふふふっ
1日明るい世界に出てきたからって自分の世界がどっちか分からなくなってた。
僕の世界は黒い、暗い世界だ。
何勘違いしてるんだろう。
ふふふ………
もう…痛いのも苦しいのも慣れてるじゃん…
…大丈夫…大丈夫…………
抵抗することをやめた。
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