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三輪
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ボクが恋に気がついたのは、すこし前の話で。無愛想な表情の中に見え隠れする優しさが、甘さが、ボクの心臓を射抜いた。夢中で困るな、本当に困るな。ギシリ、と、二段ベッドの上に登ると、間宮はボクに背をむけて寝息を立てていた。
「寂しい。」
と、ボクは間宮の背中に話しかける。少しして、もぞっと身動きをした間宮はこちらに寝返りを打った。視線がかち合う、薄い琥珀の瞳が瞼の裏に二度、三度隠れて、寂しいと、それ以上何も言っていないのに、枝のような腕をこちらに伸ばしてくる。そしてボクの黒い髪を、ひとなで。
「ん。やんの?」
眠そうなまなこを隠しもせずに、間宮はそう言ってボクの頬に手を添えた。
ボクは、上手く告白もできないような人間だ。臆病で勇気もない、それでも欲望が先走り、アナタを抱くことを覚えた。
アナタはおかしな人だ、間宮。
ボクを叱って、ボクに笑いかけて、ボクの欲望を受け止めてくれる。何も言わず、何も聞かず、そんなことには興味などないと言うような顔をして。
間宮、キミは一体、何をみているんだ。そんな甘い顔、そんな蕩ける吐息を、他の人には見せてはいないね?
奥歯を痛いほど噛みしめる。
アナタの布団の中にもぐりこんで、白い肌に掌を這わせた。まるで、ボクがボクじゃなくなるような感覚に襲われる。その度に間宮は、この上なく嬉しそうに笑うのだ。
「ん、ぁ…あ、 あ、きら…!ぁっ、は、も、気持ち、ぃ、…んっ、声、やばい、って!」
「聞かせてやればいい。アナタはボクだけを見ていればいい」
「ぁっ!…ん、ばっかじゃねーの!いっ!て、また、噛んだ…っ!」
「見せつけてやればいい。アナタはボクのものだと、教えてやればいい。アナタは、…赤が似合うな。」
「っ、あぁっ!ぁ、ん…は、は、…はは。それ、なんか懐かしい、な」
間宮が手の甲を目に押し当てて瞳を隠す。つ、と流れる涙を拭き取ってやるのだ。何を想って泣いているんだい、間宮。それが快楽からくる涙であれば、どれほどよかったことか。ボクはね、ボクはアナタを、どうすれば虜にできるだろうか。
揺らぐ脳裏を打ち消すように、激しく抱くのだ。アナタを抱くのだ。息の根を絶やすのだ。その首に手を、かけるのだ。
薄い部屋のドアの前にしゃがみ込んで、唇を噛み締めて耐えている人がいるとも知らぬまま。
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