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嘘から本当へ
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恋人になってから、真琴はとてつもなく甘くて優しかった。もともと優しいことは知っていたが、それが露骨になった感じだ。
ただ、時折強引にキスを迫ったり、それ以上のことをされそうになることはあり、それが人目につきそうな放課後の教室だったりすると焦った。
「っ、まっ、……やめ……んっ」
「本当にやめていいのか?ここはもうトロトロだが」
「やっ、ひぁっ……」
教卓に乗せられたままズボンを脱がされ、下肢を扱かれるうちに先走りが零れた。それを全体に伸ばすように上下に動かされて、勝手に嬌声が溢(あふ)れてやまない。
「ぁ、ああ……っ、や、イク……」
「いいぞ、イけ」
促される声に従うように、白濁が勢いよく飛び出した。
達したばかりで荒く息をついていると、真琴が褒めるように優しく口付けてきた。
「っ、ん……」
触れ合わせるだけのそのキスにさえとろけ、ぼうっと見つめてしまうと、真琴は嬉しそうに言った。
「こういうことをしている時のお前は、素直で可愛い。いつもは何だか無理をしているみたいだからな」
「っ……」
思わずぎくりと身を強張らせると、そんな涼也を知ってか知らずか、真琴は続けた。
「お前は時々ひどく辛そうな顔をしている時がある。それは何故なんだ?恋人の俺にも言えないことか?」
「……そう、か?……お前の気のせいじゃねぇの」
「いいや、気のせいなわけない。それに、その話し方……」
「あー、悪い。ちょっと用事思い出したから帰るわ」
「堂守!」
呼び止める声を振り切り、素早く衣服を整えると教室を飛び出した。
すると、教室を出てすぐの廊下に腕を組んで立っていた人物を見て目を見張る。
「しょ、晶也……」
呆然と名前を呼ぶと、晶也はぎこちなく笑いながら視線を泳がせた。
「悪い、立ち聞きするつもりじゃなかったが……」
「ううん、いいよ別に……」
それきり沈黙が流れると、後ろから追ってきた真琴が話に割り込んできた。
「あれ、そっちは堂守……」
「ああ、そうそう。晶也、竹島君は晶也のことが好きなんだって。ということで、明日で一週間だし、さよならだね竹島君。今までありがとう」
「え?」
「は?」
見事に二人揃って素っ頓狂な声を上げたが、それを無視して涼也は痛む胸を抑えて駆け出した。
「待て、堂守!」
大声で真琴の呼ぶ声がしたが、すぐに追いかけてくる気配はない。
きっと、今はこの状況が分かっていないのだろうが、そこは本命である晶也が説明してくれるだろう。
そして、二人は目出度く結ばれるのだ。邪魔者の自分は失恋確定で、退散しなければ。
「うっ……っく……」
一人きりになった途端、堪えられなくなった涙が次から次に溢れて止まらなくなった。
期限は明日までだったから、まだあと1日は偽物の恋人でいられただろうに、馬鹿なことをした。
だが、晶也に気付かれてしまえば、もう仕方がない。
短かったけれど、幸せだったなあと、幸福だった時ばかり浮かんでますます辛くなった。
どちらにしろ、遅かれ早かれこうなっていたのだし、もう隠し通せるものではなくなっていたのだ。
そう思いながら帰路につこうとしていた時、後ろから追ってきた誰かに腕を掴まれた。
「待て、堂守……じゃなくて、涼也」
「!」
驚いて振り向くと、真琴が息を切らして立っていた。心なしか表情が険しい。やはり怒っているのだろうか。
そう思うと、自然と謝罪の言葉が出た。
「騙していてごめん。俺は晶也と入れ替わっていたんだよ」
「ああ、それはさっき晶也から聞いた。だけど、俺はそれを知らなくて。俺はてっきり……」
「どうして俺を追ってきたの?晶也が待ってるんじゃないの?」
「話は最後まで聞け!」
怒鳴るように言われて、口を噤むと、真琴は苛立ちを顕にしながらも、謝ってくる。
「悪い。言い方きつかった。俺はな、入れ替わっていたこと自体知らなかったんだ。それは、入れ替わっていたことが分からなかったのとはちょっと違う。お前のことは最初から涼也だと思っていたんだ」
「え……?」
「何か俺の知る涼也と口調や態度が違うとは思っていたが……とは言っても、お前とはあまり話したことはないから、確信は持てなかった」
「ちょ、ちょっと待って。だったら、あの告白は……」
「俺は、涼也が好きなんだ。あの時、名字で告白したりしなければこんなことにはならなかったな。俺の方こそ悪かった」
「え、え?」
「改めて言わせてくれ。涼也、俺と付き合ってくれないか」
突然降ってきた本物の幸福を前にして、涼也は言葉をなくして、真琴の赤い顔ばかり見つめていた。
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