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気配
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「あー疲れた。なんで俺が…………テスト終わったばっかなのに。そうだ自分へのご褒美にケーキ買って帰ろっかなー。」
テストが終わったというのに先生につかまり資料の片付けを手伝っていたら帰る頃には暗くなっていた。道を歩きながら何のケーキにしようか迷っていると何やら後ろからの気配に気づきゾクッと悪寒がした。
(つけられてる…………?)
どこかにと思ったがもう少し先に行かなければここらへんの店は閉まっている。焦りと恐怖で早足になり後ろについてくる人も早足になる。一人じゃない二人……いや三人?くらいだろうか。足音が多い気がする。角を曲がったところで走ってなんとかコンビニに駆け込む。
「い、いらっしゃい……ませ?お客様どうしました?」
「い、いえっ。何でもないですすみません。」
(俺の気のせい?でも確かに……いや、やめよう。)
無難なショートケーキと飲み物と晩御飯用に弁当を買って店を出てキョロキョロするもそれらしき人はいないとホッとし自宅へ向かった。
「ただいま。父さん、母さん。」
返事はない。当たり前だ。いないのだから。何時ものように写真に向かって言う。カチカチと電気を付けると買ってきた弁当を机に置いてケーキは冷蔵庫に入れた。いつもは自炊なのだが今日は弁当だ。たまに食べたくなる。
「はぁ……。疲れた。」
静かな家。安いアパートに住んでから何年経つだろうか。この生活にはもう慣れた。お金には困ってない。将来のために節約しなければと安いアパートに引っ越し学校は学年トップで学費免除。めちゃくちゃ頑張った。
「んー。やっぱコンビニの弁当おいしい。あ、シュークリームも買っとけば良かったなー。それどころじゃなかったけど…あーやめやめ。ケーキ食べよっ。」
甘いもの好きなのでケーキは大好きだ。チョコレートのストックもあるが今日はショートケーキである。滅多にケーキは買わないのだがどうしても食べたくなり買ってしまった。
「明日食料買いに行かないとな…。ホントはテスト休みは友達と遊ぶとかなんだろーけど。俺はそうはいかないしな。」
父さんと母さんがいれば俺はどうなってただろうか。反抗期とかあったのかな。テストとか自慢できたかな。寂しい気持ちはいつもだ。誰かの温もりがほしい。そばにいてくれるだけでいい。自分には幸せなんて来るのだろうか。
いや、俺には必要ない…
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