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お泊まり
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「いつから泊まることに?」
「だって明日の予定聞いたら何もないって言ったじゃん?」
「それのどこが泊まることになるんだよっ。」
「お、桐野ってそういう喋り方もするんだ。」
「ご、ごめんなさい……」
また謝った、と笑われ残りのオムライスを食べている。でも泊まるとしても着替えもないしどうしろというのだ。ニコニコとしている栗原くんにモヤモヤしながら食べ終わると食器をまとめキッチンに向かう。
「洗い物は俺がするよ」
「俺がやるから。それと泊まらないで帰るからね。」
「えー……。」
「えー……じゃない。」
「でも外吹雪だよ?」
「え?」
洗い物の手を止めればビュービュー音を立てて吹雪いてるのが見えた。わざわざカーテンを開けて俺に見せつけてくる。でもそれも優しさだって分かってる。このまま帰らせるには危ないと思ってくれているんだよね。
「着替えないよ?」
「俺のかすし。」
そうなるよね。でも絶対サイズ合わないし笑われるんだろうな。でも裸で過ごすわけにもいかないし仕方なくかしてもらうことにした。洗い物が終わりソファに促されればちょこんと端っこに座る。栗原くんはお風呂の用意をしているらしくここにいない。広すぎて部屋にぽつんと自分がいるのは落ち着かない。
「桐野着替えこれな?もう少しで溜まるから待ってて。」
「うん、ありがとう。」
「デザートは風呂出たら食べよーな。」
「え?あ、うん。そうだね。」
そういえばデザートがあったの忘れてた。栗原くんが買ってくれたやつだけど。素っ気ない返事しかできない。ホント自分は嫌なやつ。でもそう思ってほしい。俺に優しさなんていらないのに。泊まることに迷惑してるのではないだろうか。外が吹雪じゃなければ良かったのに。
「桐野?なんでそんな端っこに座ってんの?」
「端っこが落ち着くからです。」
「なにそれ。何か小動物みたい。」
笑って話しかけてくれる栗原くんは俺の冷たい態度にも気にせず怒りもしない。優しい人だな。俺は最低だ。分からない。どうしたらいい?話題が見つからない。怖い。
「…………の。きーりーの。」
「…………は、はい?」
「大丈夫?体調良くない?」
考え事してたら栗原くんが呼びかけてたらしく心配された。ごめんなさい。そう言えばまた謝ったって笑うのだろうか。この人を傷つけたくない。泣きそうになってしまった俺の頭を優しく撫でててくれる。
「無理に泊まらせてごめんな?吹雪の中帰らせたら風邪引いちゃうだろうから。」
「ううん。ありがとう。」
うん。知ってるよ。無理矢理じゃないから。心配で泊めてくれてるんだよね。服もごめんね。下着も新しいの出してくれてたの知ってる。こんな俺に優しくしないで。もったいないよ。俺に優しさなんていらないよ。
だめだ
涙が出そう……
見ないで…………
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