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知らないこと
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「ごちそうさまでした。すっごく美味しかった。」
「そ?良かった。桐野甘いもの食べてるとき幸せそうだよな?」
「え?そ、そうかな……甘いもの好きだから…。」
幸せそう?そんな風に見えてたのかと信じられなかった。幸せなんて自分には似合わないし。でもケーキ美味しかったな…。こんな時間が続けばいいのに。なんて思ってはだめだ。
「ほい。新しい歯ブラシ。」
「わざわざありがとうっ。ん、栗原くん携帯鳴ってるよ?」
「お、ホントだ。もしもし?あーそれはだな……」
なんの電話だろう。パソコンもだし電話もだし友達って感じではない。仕事?栗原くんってなにもの???どういう生活してるの?
トイレの洗面台の前の鏡を見てシャコシャコしながら首をかしげ磨いていき突然横から鏡に写る栗原くんにビクッとし横にずれて磨きやすいようにした。
「ん。栗原くんホントに気配ないよ。急に鏡に写ったからびっくりした。」
「んーーー?そう?普通じゃない?」
何がどう普通なのだ。電話大丈夫だったのかな?とチラ見すると鏡越しに目が合って直ぐにそらしてしまう。なんなの。なんか変だ自分。
渡されていたコップに水を注いでそれで口をすすいでいき横で渡されたタオルで口を拭いているのだが先程からずっと見られてる。
「く、栗原くんっ。そんなに見ないで穴が開くっ。」
「んー。いいじゃん。」
「だめ。穴が開いたら困るっ。」
そう言ってバタバタとリビングに走って逃げた。何だか恥ずかしい。ソファの端っこに座ると更に小さく座った。拓也くんの邪魔にならないようにしなければ。
「桐野またそんなとこに座ってる。」
「端っこが好きだもん。」
だもん、て……子供みたいだな俺。
「テレビでも見る?俺はちょっとやることあるから好きなもの見てていいよ。」
「ここでするの?俺邪魔にならない?」
「いいよ。気にしないから。」
眼鏡をかけながらパソコンを机に置いて何かファイルみたいなもの持ってきている。学校のまとめ?それとも何かしらのお仕事?気になるけど邪魔になるしテレビをつけるとミステリードラマがあったのでそれを見ることにした。
クッション抱きしめて見て時々怖いシーンになるとビクビクしていた。怖いのは嫌いだけど謎解きが多くて面白い。でも……拓也くん何してるの?
カタカタと打ち込みながら資料に目を通してる。こういう作業って常にやってるのかな。拓也くんって俺と同じ高校生だよね?高校生でこんなことしてるのって拓也くんだけではないのだろうかとかドラマも終わっていてキーボードを打ち込む音にうとうとすると力尽きてポスッと倒れて眠ってしまった。
「お?どうした…き、りの?……寝てるし…………寝顔可愛いな…。」
落ち着け俺。手を出してはいけない。というか俺の大きな服のせいで余計にはだけてるっ。寝顔をもっと見ていたい、起こすのはもったいないと思いソファにかけていた膝掛けを片手で器用に広げてかけてあげスヤスヤ可愛らしい寝息を立てて眠っている桐野の頭を優しく撫でた。俺と同じ香り。そりゃそうか。
「ひと、りに……しな…………で…」
寝言?一人にしないでって言ったような…。どんな夢を見てるんだ?たまたまコンビニで出会って桐野とこんなに話したのも初めてなくらいだ。教室ではほとんど一人で、絡まれてるやつらから女の子を守って、怪我をしてみんなに避けられ誤解が解ければ課題を見せてくれと言わたりとこんなに優しいやつなのに。
自分を悪く言うのもなんだ?家族は?
どんな生活をしている?
お前のことが知りたい
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