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何も知らない自分
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「わー、ふかふか。大きいベッド。こういうベッドで寝るの夢だったんだー。」
貧乏とは言わないがこんな贅沢な過ごし方は初めてだ。ついはしゃいでベッドをゴロゴロと堪能してしまった。チーズケーキも美味しかったな。栗原くんも優しくて話しかけてくれて凄い楽しかったし嬉しかった。
「…………帰りたくないな…。」
ハッとした。こんなこと言うなんて。だめだ。ちゃんと戻らなきゃ。こんな日は今日だけ。我が儘言っちゃだめだ。
「栗原くん遅いな…。大丈夫かな。一緒に寝るの嫌だったかな。」
もしかして気を使ってソファで寝てるのかもしれない。確認に行きたいけど何だか怖くてできなかった。本当は夢で栗原くんなんていなくて自分の部屋で真っ暗で冷たくて寂しくてあのドアを開けたら闇に引き込まれてしまうかもと動けなかった。ちょっと確認したくなって自分の頬をつねってみる。
「いひゃい。夢じゃない。かも?」
じんじんする自分の頬を撫でて小さく笑ってしまった。ここは闇というより光の中。今日だけ甘えてもいいかな?
あ、リビングの方から音が聞こえる。栗原くんだ。話し声が聞こえるけどこんな遅くに電話かな?
「栗原くん……好きな人っているのかな?」
もう彼女とかいるのかも、と考えたらなんだか胸が苦しくなった。モヤモヤする。電話の相手が彼女だったら、とか俺変なの。別に俺は友達、とも言える関係でもないしたまたま今日会ってご飯作ってお泊まりになっただけだもんな。友達……友達なのかな?栗原くんは俺のことどう思ってるんだろう。
「友達、か……。」
自分をおかずにして抜いていたとは知らず心地好いふかふかなベッドにうとうとし埋もれるように眠りに落ちたのだった。
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