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泣きそうなんだけど
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こういうのってタバコをぷかーって吸って外の景色を見てたらかっこいいよな。とか変なこと思いながら電話をするふりをしていた。
「嫌われたかも……。」
はぁ、終わった。俺の初恋終わった。兄貴のとこに行くの無理だろうな。電話したらめちゃくちゃ怒られそう。やだよもう傷ついた心を抉ってくるもん。
「このまま凍え死んでもいいや。」
電話するふりもやめてボーッと外を眺めていたらカラカラカラとベランダの扉が開く音がして振り向くと涼が心配そうに見ていた。
「あ、あの……電話終わった?」
ずっと見られていたのか電話が耳元から離れると中に入って来るのを待っていたようだった。それでもなかなか中に入って来ないので心配して声をかけてくれたらしい。今は優しさが辛いよ。泣きそうなんだけど。
「中に入ろ?」
「ごめん、帰りたいんだったよな。家まで送るよ。」
せめて長くそばにいたくて自分を苦しめる行為だったとしても送ってあげたかった。冷えきった体なんてどうでも良くて中に入ると冷たくなった手がほんわりと温かくなった。涼が俺の手を両手で包み込んだのだ。
「りょ、う……?」
「凄く冷たくなってる。」
「俺に触っても平気なの?」
「?……平気だよ?」
なんでだよ。さっき俺が触ろうとしたら怯えてたじゃん。今だって無理して触ってんじゃねぇの。そんな目で見るなよ……触れたくなる。抱きしめたくなる。
「俺はもう大丈夫だよ。さっきは本当にごめんね。」
「じゃあ触ってもいいの?抱きしめてもいいの?怖いだろ…あんなことしたんだぞ。」
「別にいいよ?だって嘘ついたから怒ったんでしょ?嘘ついた俺が悪いし」
「違うよ……。」
もしかして嘘ついたことで怒られたと思ってるのか?涼そういうとこずれてるよな。
可愛いけど。
「彼女がいたってこと……怒ってた訳じゃなくて…………だからその………嫉妬だよ嫉妬っ。」
「嫉妬?」
「分かってないだろ。」
「ぅ…………ごめんなさい。」
嫌われてないっぽい、かも。まだチャンスあるならもう間違ったことしたくない。涼は恋愛とかに疎いのか。それだったらキスもセックスも知らなそうだな。
「別に謝らなくてもいいよ。もう一度聞くけど触っても抱きしめてもいいんだな?」
「うん。拓也くんに頭撫でられたり抱きしめてくれたり嫌じゃないし俺は嬉しいな。」
「~~~っ。」
「その、さ…………夕方までここにいてもいい?」
「………………え?」
「だ、だめ?お昼ご飯料理頑張るから。」
「居て下さい。」
やばい。夕方までいてくれるとか嬉しすぎる。兄貴ちゃんと連れてくから待ってて。
こういうのって友達からお願いしますってあるよなー。友達になってくれなんて今更だけど言ってもいいのかどうか。選択肢を間違えたら俺は死ぬ。その前に充電したい。涼充電。
「早速だけど抱きしめてもいい?」
「ん、いいよ?」
先程のように足の間にスッポリおさまり抱きしめて肩に顔を埋める。あったかいし気持ちいい。あー落ち着く。
「寒かったでしょ?」
「ん。涼の温もり貰うから大丈夫。」
(これ違う意味で泣きそう……。良かった嫌われてなくて。)
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