アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
悲しい過去
-
スーパーに来るとカートを動かしながら卵や野菜やお肉やらをどんどんかごに入れていく。拓也くんはチョコを探す旅に出て行ったので今は一人だ。今日の夜はカレーにしようかな。
「あれ?いない……行き違ったかな?」
お菓子コーナーの所を見ると拓也くんの姿はなかった。先に会計を済ませておこうとレジに向かっていると女の子の騒がしい声が聞こえその方向に目を向ければ囲まれてる拓也くんがいた。
「モテモテだなー。レジの向こうで待ってようっと。」
会計を済ませエコバッグに詰めると拓也くんを確認しつつ大人しく待っていた。俺に気がついた拓也くんはチョコ1つだけでなくかごいっぱいに色んなのを入れてレジで会計していた。あんなに食べれないんだけど。
「じゃ、またねー。」
『『『『『えぇ~。』』』』』
『カラオケ行こうよ~っ。』
『ねぇねぇ、そこのカフェに行かない?』
「悪いけど連れがいるから。」
「拓也くんいいの?」
「いいのいいの。涼の家に案内して?」
女の子からの視線をグサグサ背中に感じながらスーパーを後にした。さりげなく俺の荷物持ってくれるし紳士だな。
「ちょっと待っててね鍵開けるから。」
「お邪魔しまーすっ。」
ちょっと古めのアパートに着くと扉が開き中に入ると狭いと聞いていたわりには結構広いじゃんとか言ってくれた。一人暮らしの一般的な広さだからそうなのかな。
「ただいま。父さん、母さん。」
「ん?」
「あ、ごめんっ何時もの癖で……。えっと…………後で説明するね。」
「あ、うん。」
「狭いでしょ。暖房入れるからそこに座っててくれるかな?」
「ほーい。」
つい何時ものことなので写真に向かって言うと不思議そうな顔をされて慌ててしまった。部屋はベッドと机とかでシンプル過ぎるほどに何もない。
「お待たせっ。何か飲む?冷たいお茶か温かいお茶か……」
「飲み物はいい。話が聞きたい。」
「…………うん。」
真面目な顔をして言われたのでしぶしぶと頷くとどんな反応されるのか怖くて来てくれたばかりなのに帰ってしまうのではと言いづらかったがもう逃げられない。ちゃんと説明しようと玄関の方にある家族の写真を持ってくると中学の時の入学式の写真で親の間に今より幼い自分が写っている。ちょこん、と拓也くんの隣に座って家族のことについて話し出した。
「驚くかもしれないけど…話すね。俺のお父さんとお母さんね、いないんだ。」
「………………」
「中学の頃に事故で亡くなったんだ。その日は大雨で俺が迎えに来てって連絡したんだ。そしたら親二人で来るって……」
「大きな車がスリップして親二人の車にぶつかったって。救急車の人から連絡が来た。急いで病院に行ったけど即死だったって伝えられた。」
「俺が迎えに来てって言わなかったら死ななかった。俺の……せいなんだ。俺が殺した……。」
「それは違う。」
「違わないよ。」
「違う!」
「…………っ………………」
違うと言われても自分が悪いとしか思えない。耐えられなくて自分も一緒にそこへ行こうと遺品整理をしてからと考えながら棚の整理をしていると俺のために貯めてくれたお金があった。だから生きようと思った。このお金を無駄にしたくなかった。
「お前は何も悪くない…………。」
「…………俺がいなかったら父さんと母さんは生きてた。」
「そんなことない。」
「……………」
どうしてそんなこと言えるの?俺のこと責めてよ。お前が悪いんだって言ってよ。
どうして?
優しくしないでよ
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
34 / 1075