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嫌いにならないで
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『誰だお前?』
『あの扉開けてきたのかよっ。』
「た、くや…………く……ん……」
そこには愛しい人が立っていた。でも今までに見たことがないくらい怖い表情で何を考えているのか分からない。
『こいつがたくや?』
『もしかして混ざりてぇの?』
「離れろって言ってんだろっ!!!」
手と長い足が動いたかと思えばドガッと鈍い音とともに二人が吹っ飛んだ。驚いた俺は何がなんだか分からず俺の周りにいた人達も引き剥がされ投げ飛ばされ失神したように伸びていた。
「大丈夫か涼っ!」
「ごめ……なさっ…………俺……」
「もう大丈夫だから……。」
縛られていた手を解放され汚れることなんて気にせず優しくコートをかけてくれた。ちょっと待っててなと言われ拓也くんは一人に馬乗りなり胸ぐらをつかんで睨んでいた。
「おいお前……何やったか分かってんだろうな?ぁあ!!!?」
『ひぃっ…………』
「許さねぇ……。」
『ご、ごめっ…………もうしませんっ。』
「………………二度とこいつに近寄るな!次会ったら……」
『ひぃいいっ』
続きの言葉は言わずにダンッと顔の横に拳を落としてから離れた拓也くんはゆっくりとこちらに近づいてきて悲しそうな顔をしていた。嫌われたのかとカタカタ震える俺を優しく抱き上げ脱がされた服とカバンを持って倉庫外に出た。
「怖かったよな涼。手当てしねぇと……」
「ごめんなさっ…………俺汚い……触っちゃだめ……っ……」
「大丈夫。気にすんな。」
落ち着かせようと倉庫から少し歩いた先のベンチに座り誰かに電話をかけていた。
「もしもし兄貴?緊急なんだけど今どこ?」
「どうした?家にいるが何かあったのか?」
「手当てしてほしいやつがいる。風呂もかしてほしい。」
「………………分かった。連れてこい。」
誰と話してるの?警察?親しい人っぽいから友達?お願い…もう一人は嫌だ。何でもするから。涙がボロボロ流れ止まらなくて震えながらしがみついていた。
お願い……
「……………………………いでっ」
「ん?どうした?」
「嫌いにならないでっ」
「………………なるわけねぇだろ?」
「嫌だっやだやだやだ!お願い…………嫌いにならないで謝るからっ……何でもするから……おねが、い…………」
「おい涼?涼!?」
パニックになり何度も何度も消え入りそうな声で叫ぶがプツッと目の前が真っ暗になりガクンと力なく意識を失った。
ーーーーーーー
「兄貴っ…………」
「……話は後で聞くから風呂入ってこい。」
「さんきゅ……」
電話から泣き声が聞こえたが男だよなあれ。
ったく……困ったな。
こんな形で出会うことになるとは。
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