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「ち、違います!」
「違わないです。逃げんな」
もう、ためらいもなく抱き寄せる。うろたえてる權さんの頬に触れる。熱い。
「違う! 違うじゃん! そういう意図でしてない!」
「だとしてもだよ」
「前提条件が違う」
「結果としては同じです」
「………………」
「あのさあ、生身の人間に対して、本当に玩具扱いとか出来ないだろ。俺は權さんのこと想いながらしてたよ。………」
「っ…………」
「貴方は違うの」
「…………………………なんも考えてない……」
わー。すげえ。世の中にこんな脈なしが存在するとは。
「……て、いうか…………ずるずる流されて楽だっただけだし………気持ちよすぎて、あんま覚えてない……」
「……………そうですか」
「うん……」
「じゃあ今も流されてくれないですかね」
「うん?」
「………………………俺があんたに本気で付き合おうとか言ったら、どうすんの」
「あっはは。ないない」
文字通り、一笑に臥された。
それで、何かが吹っ切れた。
「宇多くん、面白いこと言うねえ。別に、お互い好きとかないんだしさ。それはなんか違くない?」
「えー。でも俺が女だったらそーゆー話になってたでしょうよ」
「女だったらね。…………いや、だったらそもそもヤってないと思う」
「はは、確かに」
「………………………優しいね。なんでカノジョ出来ないの?」
「殺意沸く質問やめてもらっていいっすか」
「ははは。機会があったら女の子紹介しますよ」
「それ機会ないやつじゃん」
「いやいや。うちの女子社員でよければ」
「え、マジっすか。是非」
引っ付いたまま、けらけら笑う。
好きだ。
好きだけど。
なる早でこの感情は処理しなきゃいけない。
なかったことに。
初めから、なかったことに。
「…………はー、面白。あ、そだ。あのさ」
「はい? なんすか」
これ、口でしてあげよっか。
再び權さんは、俺の股間に手をあてがう。
誰か、この人の脳ミソを解剖してくれ。
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