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「そっち混む?」
「あんま変わんないんじゃないすか」
駅のホームまで一緒で、帰る先は逆方向。
土曜の午前10時。
通勤ラッシュに慣れているから、なんだか違和感がある。人がいつもより少ない。色とりどりの私服。中学生くらいの女子達がはしゃいでいる。登山にでも行くのか、アウトドアな格好をしたご高齢の女性。
ベンチに並んで腰かけた。
「……まあそうか。…………………」
「………………なんか空いてると知らない場所みたいっすね」
「……そうだね。朝なんて人の頭しか見てない」
「確かに。………………」
「……………」
「……………」
会話が続かないのは眠気と疲労と、日差しの明るすぎるせい。
………………權さんが、なかなかこちらを向いてくれないせいでもある。
ホテルを出たときには、眠いから、と濁された。
それだけじゃないだろ、と思う。
「……………宇多島くんさぁ、」
「なんすか」
「……………」
「………………………………………え、なんすか」
「…………もう、こういうのやめようか」
「嫌です」
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