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双子
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「いやぁ~急に電話してすまんねぇ」
「いいけどさ…」
居間にあるこたつでぬくぬくとしながら、一葉兄ちゃんが口を開く。
未だに兄ちゃんのことを恨めしそうに見ていると、向いに座った駆(かける)が笑った。
「ぶはっ!歩ぅ~その顔うけるんだけど!何?喧嘩でもしてんの?」
「うるさい駆!…別に喧嘩なんかしてないよ」
「じゃなんでカズ兄睨んでんの?意味わかんねぇ」
頬杖をついて駆は退屈そうな顔をする。
ぼくと駆は一卵性の双子の兄弟。ただし、顔はそっくりなくせに、中身は全然似てない。
小学校に上がるまでは、何をするにもぴったり一緒だった…どこで差がついたんだろう。
ため息をつきながら駆の顔を見ていると、台所から二葉兄ちゃんが顔を出した。
「暇なら食器の配膳くらいは手伝ってくれないか?俺と母さんだけじゃ回んないよ」
「あっ、僕手伝うよ」
飛び跳ねるように立ち上がったぼくを見て、駆がひゅーひゅーと声を出して茶化す。
「あ~~出た出た、歩のべったりが」
「駆っ!」
一喝すると、駆はおおこわいこわいと言いながら一葉兄ちゃんと話し始めた。
駆にそういう茶化され方をすると、二葉兄ちゃんとのことを見通されてるような気がしてくる。
ほんとに、どこでこんなに差がついたんだろう……
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