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背中
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台所に入ると、ふわっと美味しそうな匂いが漂ってきた。流しにいたお母さんが振り返る。
「あら歩、手伝ってくれるの?じゃあそこの棚に入ってる煮干し、とって頂戴」
3人並んで狭苦しくなった台所で2人が並んで料理をするのを見ながら、わくわくしていた。
お母さんと二葉兄ちゃんが作る料理なら、おいしくないはずがないんだから。
トントンという包丁の音を響かせながら、心なしかお母さんも楽しそうに見える。
「二葉が手伝ってくれるなら安心ね、なんたってプロなんだもの」
「やめてくれよ母さん、今日はオフなんだから」
そんなことを言いつつも、二葉兄ちゃんの手つきはとても鮮やかで思わず目を見張る。
一緒に暮していれば見慣れるけど、やっぱり料理を作ってる時の兄ちゃんが一番カッコいい。
ついついぼーっと見惚れていると、振り返った二葉兄ちゃんに笑われた。
「ほら歩、さぼってないで体動かして」
「さ、さぼってないよ」
だって、こういう時の兄ちゃんの真剣な顔とか、背中を眺めてるのが好きなんだもん。
「あーゆーむぅー、まだー?」
「ほら、駆が待ってるぞ」
「…はぁい」
ふんだ、手伝いもしないのに催促ばっかりして…。
心の中で悪態をついたりしながら、出来た皿から居間に運んでいく。
毎日食べてるけど、二葉兄ちゃんの作った料理だって思ったら、楽しみでついにやけちゃう。
「うわ、何その顔。歩きもい」
……うるさいばか。
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