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至福
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駆の失礼な発言に眉をしかめたあとで、一葉兄ちゃんが部屋にいないことに気付く。
「駆、一葉兄ちゃんは?」
「カズ兄?なんか電話がかかってきたとか言って玄関に出てったよ」
こういう時はむしろ電話やメールを無視する一葉兄ちゃんにしては珍しい。
すぐに戻ってくるだろうと思いながらこたつの上に丁寧に料理を並べていく。
身を乗り出し目を輝かせる駆を見て、こんなところはやっぱり双子だ、と思ってしまった。
「なぁ、ちょっとつまんでいいかな?」
「みんなの準備が終わるまで待ちなよ、行儀が悪いなぁ」
「なんだよ、歩だって昔は一緒につまみ食いしていっぺんに叱られただろ」
そんなものは昔の話です。今はつまみ食いなんかしてません。
二葉兄ちゃんが料理に真剣になっている間にこっそりつまんだりなんか、絶対してない。……してないんだから。
一葉兄ちゃんは配膳が全て済んでから10分くらい経ってやっと帰ってきた。
長電話もあまりしないタイプの一葉兄ちゃんがこんなに時間をかけるなんて、やっぱり珍しい。
「カズ兄おっせーよ!何やってたんだよ!」
「あぁすまねえ、ちょっとな」
「兄貴が長電話なんて珍しいこともあるんだな。…ははぁ、もしかして彼女とか?」
二葉兄ちゃんが軽く冗談を飛ばすと、一葉兄ちゃんはぎくっとして一瞬硬直した。まさか!?
「えーっ、一葉兄ちゃん彼女いるの!?どんな人!?」
「いや、あの、違」
一葉兄ちゃんが明らかに動揺している。やっぱり図星なんだ。
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