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共犯
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一葉兄ちゃんは部屋にはいなかった。多分トイレに行ってるか、台所で食器の片付けの手伝いをしてるはず。
流行りのラブソングを奏でて光る携帯をぼーっと見つめていると、駆が携帯を手に取った。
「駆?何やってんの、それ一葉兄ちゃんのだよ」
「なぁ、誰からかかってきたか、気になるだろ?この時期この時間にかけてくるような奴だからさ、絶対カズ兄の彼女かなんかだよ」
「のぞきみたいでやだよ、やめなよ駆……わッ!?」
「じゃあ歩も共犯な!いいだろ、ちょっとくらい」
呆れて顔を背けると、駆に引っ張られて押さえ込まれてしまった。
振り解こうと思ったけど、意外と駆の力が強くて逃れられない。こんな時ばっかり…。
観念して駆が開いた携帯の画面をのぞくと、「伊織」という名前が目に入った。
「いおり……?」
「……誰?」
ふたりして首を傾げる。そもそも独立して以降、普段から親密に一葉兄ちゃんやその周りと連絡を取り合ってるわけでもないから、電話の相手が誰なのか分かるはずもなかった。
食い入るように着信画面を見ていると、突然、駆の手から携帯が奪い取られた。
次の瞬間、ごん!と頭に軽くない衝撃が走る。
「……お前ら、人の携帯なんか覗いて、楽しいか?」
頭上を見上げると、笑顔で携帯を取り上げた一葉兄ちゃんの姿があった。
………どうしよう…目が全然笑ってないよ……。
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