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動揺
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ふたりしてだらだら冷や汗を垂らしていると、一葉兄ちゃんは溜息をひとつ吐いて、次はないぞと釘を刺した上で急ぎ足で玄関に歩いて行った。
「…駆……」
「…何だよ……」
振り向かずとも互いの表情が分かるような気がした。だって双子だし。
こういう時どんな顔になるかは、よくわかってるから。
「だからやめようって言ったじゃん……」
「…ふん、歩も見たんだから人のこと言えねーよ」
「それは駆が無理やり見せたんだもん……僕は見たいなんて一言も、」
ぶつくさ言いながら駆の方に振り向いて、思わず息を飲んだ。
なんで息を飲んだのか分からない。でも、いつになく切なげに自分を見る駆の顔を正面から見てしまった瞬間、気が付けば生唾を飲み込んでいた。
「っ…………」
「あ?」
「……へ、変な顔」
おんなじ顔なのに、見惚れるくらいかっこいい、って思ってしまった。
それを悟られたくなくて、いつもの調子でそんな嘘をついてみる。
だって、あんな瞳で見られたら、誰だって、同じ顔の自分ですら、こうなるんじゃ?
「…んだよ、同じ顔のくせに!やーいお前も変な顔!」
「う、ううううるさいなっ!」
よかった。ばれてない。
二葉兄ちゃん以外の相手に、こんな動揺したところ見られたくない。
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