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電話
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◇ ◆ ◇
「……もしもし?」
油断ならない双子たちから携帯を取り戻して、慌てて玄関に向かう。
通話ボタンを押して小声で応答すると、受話器越しに大声がとんできた。
『先生!遅い!何やってたの!?』
「……あぁ、すまねぇ伊織、ちょっとトイレにな。で、今度はどうした?」
『別に大したことじゃないよ、先生居なきゃつまんないから電話しただけ』
「…お前なぁ……」
こちとら危うく、実家で弟たちにお前のことがバレる寸前だったんだぞ?
いや、もう名前はばれてるのか。それでも名前だけなら大したことはない。
『…先生、怒ってる?』
「んあ?」
『…そんなに嫌だったなら、もう電話しない』
「…なんで急にそんなにしょげてんだよ。心配すんなって、気にしてねえよ」
『本当に?』
甘えたような声で囁く。不安げな伊織の表情が声だけでもわかるくらいだ。
ここ数週間はずっと電話でしかコミュニケーションがとれていないから、もう声だけで色々と分かるようになってきた。本当は早く顔を見たいもんだが、実家にいる間くらいは流石に我慢するしかない。
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