アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
二葉
-
◇ ◆ ◇
表現しがたい時間が流れた。
可哀想に、歩も駆もまったく同じ固まり方だった。さすがは双子。
こういう状況でへたに取り繕おうとして墓穴を掘るのがこの子たちの特徴だ。
お互いそれが分かっているから未だに固まりっぱなしなのが丸見えで面白い。
「駆、枕とってきたのか?」
顔面蒼白な歩はろくな返事ができなさそうなので、何食わぬ顔で駆に話しかける。
こういう時、言い訳しようとするよりは、何もなかったかのように振る舞う方が楽だ。
駆も一瞬びくっとしたが、「あ、あぁ」とどぎまぎしながら返事をして、布団に座り込んだ。
目の前に振り返ってみると、可愛い弟はまだ金魚みたいに口をぱくぱくしていた。
「ほれ、落ち着け」
歩にだけ聞こえるくらいの声で囁いて、頬をつねってやる。
「だ、だだだ、だだ」
「落ち着けって」
とすっと歩の身体を引き寄せて、とんとんと背中を叩いてやる。
歩はがばっと体を引き離して、そばの布団の中に完全に潜ってしまった。
何かフォローができたらしてあげたいが、歩本人がやった行動の結果だから、放置。
例え不謹慎でも、薄情者だと思われても、歩のこういうところが何より愛おしい。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
19 / 105