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聞き耳
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◇ ◆ ◇
「歩、ちょっとゴミ出しに行ってもらえる?収集場は前と変わってないから」
「はぁい」
お母さんが差し出したごみ袋を両手に持って、玄関のドアをゆっくり開ける。
……?庭の方から声がする。
一葉兄ちゃん、誰かと電話してるのかな。
【―――絶対カズ兄の彼女かなんかだよ―】
あ。
もしかして……昨日着信のあった『伊織』って人かな?
ちょっとくらい…いいよね。どんな人か気になる。
壁の角の向こうで一葉兄ちゃんは話しているみたい。
一端ゴミ袋を置くと、忍び足で壁にくっついて、一葉兄ちゃんの声がかろうじて聞こえるくらいまで、ゆっくり近付いた。見つかったら怒られちゃうし。
「…なぁ、泣き止んでくれよ」
兄ちゃんはぼくに気付いてない。電話の相手を宥めてる…っぽい。
「大丈夫だって、学校が始まるまであとたったの4日だろ?」
学校?職場の人なのかな。
声がいまいち聞こえなくて、さらに一歩、足を踏み出す。
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