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逃走失敗
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◇ ◆ ◇
素っ頓狂な声に振り返ったら、家政婦は見た!みたいなノリで衝撃に満ちた顔の歩と、ばっちり目が合った。
永遠のようなほんの数秒の後、歩が踵を返して走り去る。
「ぼ、ぼく何も見てないよ!」
「おい、待て歩!」
『どうしたの?先生!?』
電話の向こうの伊織の存在も一瞬忘れて、逃げようとした歩の腕を掴む。そんなつもりはなかったが、自分の声にかなりドスが利いていると分かった。
「逃げんなよ」
「っ…」
歩が足を止めて、観念したように俯く。
『……先生、誰と喋ってるの?』
伊織の声に、不安と一緒に微かな嫉妬の色が見える。
さっさと誤解を解いてやるのが得策だが、自分も気が動転していて、モノの順序が正しく見えていない。
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