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誤解
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「あっ……その、ぼく…」
『先生?先生、聞こえる?』
訝しむ伊織の声と、うろたえる歩の表情とがごちゃ混ぜになる。
「……いつから聞いてた?」
「え、と…泣くなよって、言ってたとこ…から」
ということは、大して聞かれてはいないようだ。少し安心して、とりあえず歩の腕を掴んでいた手を離した。
怯えた顔をする歩をひとまずおいて、携帯を耳に宛がう。
「もしもし、伊織?」
『先生…今誰と喋ってたの?』
不機嫌な声が返ってきた。そりゃあ自分を無視して別の誰かと喋られて不愉快にならない人間の方が少ない。
正直に言うかごまかすか決めかねていたら、伊織がはっきり怒りを露にした。
『先生の答え次第じゃ、電話切るよ』
「待て待て、落ち着け伊織。弟だよ」
伊織が本気で怒るとかなり面倒だからな…正直に話すしかないか。
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