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いたずらっ子
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俺ってものを選ぶの下手だな…。
嘆息してから、きんかんの脇に生えてるびわの木を一度撫でる。
びわの木を見ると、いつも思い出すことがひとつある。
毎年初夏になると木の上の高い枝の上に生った実は、いつも父さんかカズ兄、もしくは二葉兄が脚立に上って摘んでいた。母さんは高いところが苦手だと言って、いつも木の下で俺達と一緒に眺めていた。
何度もやりたいと申し出る度に、二人はまだ小さいから危ないと言って、脚立に触るのも厳しく禁止された。
俺も歩も、一度でいいから自分たちで摘んでみたいと思ってた。
ある日、父さんが剪定をした後に使った脚立をうっかり出したままで出かけて、庭の隅に置いたままになっていた。
いつものように庭で遊んでいて、歩が出しっぱなしの脚立に気が付いた。
『ね、ね、かける』
『なにー?』
『あれ、みて』
俺もその脚立を一目見て、歩の言いたいことが分かった。
必死にびわの木のそばまで脚立を引きずって、歩が先に上る。
『みつからない?』
『だいじょぶ。まま、ねてるよ』
その時ちょうど、母さんは家事の合間に、窓際のソファで居眠りしていた。
脚立の開き止めがかかっているかをちゃんと確認しながら、慎重によじのぼる。
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