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一粒
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『もうちょっとー』
『とったらちょーだい、あゆむ』
『うん、かけるにあげるー』
俺が下で脚立の足を支え、歩が天板の上に座って、枝に手を伸ばした。
けど、背の低い歩ではあと少し高さが足りなくて、天板の上に立ち上がった。
枝を掴んで引き寄せ、小さい手で二粒のびわの実を摘み取る。
『とれたー』
『たべよたべよ!』
俺はうきうきして脚立の足から手を離し、後から上によじのぼる。
天板に座り直した歩が、嬉しそうに俺に一粒手渡した。
『いただきまーす』
『いただきま……あっ、』
その時、急に強い風が吹いて、俺の手からびわの実が落ちた。
拾おうと脚立の端から身を乗り出したその時、ぐらり、と視界が揺れた。あっ、と思う間もなく、横倒しになった脚立から二人とも投げ出された。
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